木質バイオマス発電

信州の 山なみ見わたす 陽だまりの町・東御市、ここに木質火力発電所ができるって?!

投稿 「無意味な測定」

 チェック市民会議の会員です。

 

 信州ウッドパワー社(以下WP社)が「放射線による線量を定期的に測定」すると表明したことが報道されました(共産党東御市議団発行「東御民報2020年2月号」)。

共産党市議団が「燃料材の放射能測定実施へ」と大きな見出しを掲げているため、この記事を読んで安心された方もいるのではないかと思います。

 しかし、この記事で示された測定は放射能を測定したことにはならない測定、つまり無意味な測定なのです

 

 WP社は次のような測定をすると報じられています。

① 燃料材の表面線量率を測定する。

 ※ ただし、福島原発事故当時の汚染プルームの影響を受けた地域から搬入される木

材から無作為抽出した代表木のみ測定

② 焼却灰の表面線量率を測定する。

 

 表面線量率(μ㏜/h)を測定するということなのですが、

測定しなければならないのは放射能の濃度(1kgあたりの放射能:Bq/kgなのです。

基準値も放射能濃度(Bq/kg)で定められています(薪の基準値40Bq/kg  立木の基準値

は存在せず)。

 超高線量のものの場合に、線量率から放射能濃度を簡易的に推測することは稀にある

そうですが、線量率を測定しても放射能濃度を測定したとみなすことはできません。

そのことは、国のガイドラインにも明記されています(環境省放射能濃度等測定方法

ガイドライン」)。

 

 自社の信用を失ってしまうような無意味な測定をすると、なぜ、WP社が表明したの

か、理解に苦しみます。また、安心要素とならない無意味な測定を「燃料材の放射能

定実施へ」と安心要素として報じたことの罪深さには愕然とします(今回の報道で明ら

かになったのは、むしろ、福島原発事故当時の汚染プルームの影響を受けた地域からも

材を搬入して燃料とする予定だという不安要素の方だというのが私の感想です)。

 

 以上のことについて、共産党市議に指摘し、適切な対処を要望しましたが、無意味な

測定について多くの方に知っていただきたく投稿いたしました。

羽毛山住民 「発電所の稼働には反対!」の署名を集める

 東御市羽毛山地区は、木質バイオマス火力発電所が建設されている地域です。国

の木質バイオマス発電・事業計画策定ガイドラインには、計画初期段階から地域住民

と双方向的なコミュニケーションをとること、地域住民の十分な理解を得るための説明

会の開催が必要であることなどが書かれています。

 それにもかかわらず、ほとんどの東御市民がよく知らないうちに発電所の建設が進

められました。地元区である羽毛山区の住民も同様で、なんだかよくわからないうちに

話がすすめられてしまったと言います。

 そこで羽毛山の住民たちは、木質バイオマス発電所が建設されることに対して建設

前も建設されてからも、東御市からは一切説明を受けておらず、また、地域に火力発

電所が建設されることについて、地域で集まって地域で同意をした覚えはないと、

昨年の12月に、「このまま発電所が稼働することには納得がいかない」「発電所の稼働

には反対である」という署名を集め始めました。その結果、全戸数100軒中82軒の住民

が「稼働には反対」という意思表示をしました。

 今年1月、羽毛山区の住民が集まり、木質バイオマス発電所に関する特別委員会を

地区内に設置し、自分たちと子孫がこれから暮らす地域をどうやって守っていくかに

ついて皆で考えあっていく決意を固めました。

 

 私たち「木質バイオマス発電チェック市民会議」も、この問題は羽毛山地区だけの

問題ではない、東御市の市民全体の問題であると考えています(もちろん周辺地域に

もばい煙や排水などの影響は及びますが)。そこで、東御市には環境にかかわる大き

な問題を市民に対し説明する義務があると考え、東御市市民全体に向けての説明会を

要望し、最終的には1600筆以上の賛同署名を集め、提出しました。しかし、東御市

事業者の問題である、市には関係ないという回答を出し、説明会開催の要望を拒否し

ました。

 「チェック市民会議」としても、市民の意思が無視されたまま、木質バイオマス火力

発電所が稼働することには、納得がいきません。

 

聞いて下さい、羽毛山の住民の声!

  東御市・羽毛山地域の住民から、切実な声が届いています。

 

 東御市の市長はあんな、市民が誰も行かないような山の上(湯の丸)にプールを作っている。それなら、クリーンセンターも、発電所も、みんな山の上に持って行ってほしい。 羽毛山の人間は、これまでずっとクリーンセンターの煙を吸ってきた。なのに、さらに火力発電所の煙を吸わなければいけないのですか!

 

 羽毛山地区には、東部クリーンセンターも立っていて、地域住民は常々そのばい煙にも悩まされてきました。

 2018年の11月7日の信濃毎日新聞に、いきなり「木質バイオマス発電所建設が着工される」という記事が出て、羽毛山住民は大変驚きました。

 「木質バイオマス発電」などという言葉自体が耳慣れない言葉です。

「木質チップ工場ができるんだろうか?」と、噂していたと言います。

 

 そこに、「木質バイオマス発電を学ぶ会」主催の「木質バイオマス発電って、何?」というタイトルの講演会のお知らせ。

 参加してみた住民は驚きます。

「木質バイオマス火力発電所」ではないかと・・・・

 

 「火力発電所が地元に建設される」というこんな重大なことが、ほとんどの住民に知らされることなく決まっていき、どんどん建設されていくなんて!

 

 東部クリーンセンターのばい煙とバイオマス火力発電所のばい煙とが合体して襲ってくると思うと、私たち羽毛山住民は、もう黙ってはいられません。

 

 これが、木質バイオマス火力発電所建設地・羽毛山住民の声です。

 

 東御市の地形からいって、ばい煙は上空に滞留します。羽毛山や田中、八重原地区上空に滞留してから、風に乗って広がります。

 西風が吹けば、小諸方面に。東風が吹けば、上田方面に。北風が吹けば、立科町方面に流れるでしょう。

 

 ごみの焼却も心配ですが、木材の焼却だって、心配です。

2011年3月の原発事故の影響はないのでしょうか。東日本の森放射能プルーム(雲)

がなめていきましたよね。

汚染された木を燃やすと、放射性物質は濃縮されて、100倍、200倍にもなると言いま

す。 

いっときかなり心配されたダイオキシンの問題は?

木材が地中から吸い上げる重金属の問題は、大丈夫なのでしょうか?

 

 「バイオマスって、再生可能エネルギーだから良いことなんじゃない?」というイメ

ージで、木質バイオマス発電もとらえていて良いのでしょうか? 

木を燃料とした火力発電なんですよ!

 

 

 

 

 

     

「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」についてパブリックコメント提出

東御市生活環境課は、昨年12/6 から本年1/6にかけて、「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」についてのパブリックコメントを求めました。

 チェック市民会議は、東御市羽毛山に建設中の木質バイオマス発電に大いに関係する内容だと思い、メンバーの何人かが、パブリックコメントを提出しました。

 そのパブコメのうち、二つをご紹介します。

 

提出者:T.S氏による 

【第2東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)パブリックコメント(抜粋)

 ➀1次計画の「取り組み内容」のCHECKがされていない。

②国の主な地球温暖化対策一覧(表4-2)について

 東御市(都道府県及び市町村)は国の主な地球温暖化対策一覧にしたがって「対策ケース」算定していること。

 温暖化対策・施策ごとの導入量を想定し、温室効果ガス削減量を試算する。各削減量を積み上げて、対策・施策による削減量を試算する。そして都道府県及び市町村の集計を行い国の削減量としていること。

③具体的な施策と取り組み内容について

 「施策名」「行動主体」「取り組み内容」が一般的に記載され、「地球温暖化対策・施策総括表」において「2018年実績状況」とともに「短期(2022年)」及び「長期(2030年)」削減量が試算されている。

④施策外の削減量について

 「施策外の削減量」とは「2013年度から2019年度までに実施した施策により削減できた温室効果ガス削減量(単年度実績は除く)」及び「国の取り組みによる当市での削減量推計」である。東御市の過去の計画効果及び国の計画効果である。

「短期(2022年)」市効果39.5%、国29.8%、市+国=69.3%

「長期(2030年)」市効果19.9%、国55.6%、市+国=55.6%

  東御市第2次計画効果率「短期(2022)30.7%、「長期(2030)24.5%に過ぎない。

 〈信州ウッドパワー導入について〉

再生可能エネルギーの導入促進、有効性や実現性の研究〜地球温暖化対策・施策総括表  …とあるが、信州ウッドパワー導入の検討経過が示されていない。

  発電のエネルギー効率について評価、熱エネルギー利用は常識〜発電施設導入との比較検討を行うべき。研究が行われていない。

 「情報収集を行い、導入の可能性を検討した」というエビデンスevidence)を示すことなく企業誘致を行ってはならない。

②信州ウッドパワー導入による削減量7,956.8tについて

 削減量7,956.8tについて「積み上げ法による排出量算定支援ツール」の計算経過が表示されているが、木質バイオマス発電所は木材等を燃焼させるという特質から木材等燃焼時における二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)一酸化炭素(CO)等の排出量について試算を行うべきである。試算が行われていないのは不作為である。

 ③信州ウッドパワー導入によるCO2総量の増加について

 木質バイオマスを燃焼させて発生させたCO2は大気中のCO2総量を増加させている。発生させたCO2量を植物などに吸収固定させない限りカーボンニュートラルと呼べない。エビデンスevidence)を示さないでカーボンニュートラル論を振り回してはならない。

 ④信州ウッドパワー導入による木材燃焼にともなう発熱量と気温の上昇について

 木材燃焼にともなう発熱量(MJ/kg:メガジュール/kg)について検討がされていない。

 一般炭(国内炭)

  発熱量2.5MJ/ kg(単位発熱量)×32,000(t)×1,000(kg)=720,000MJ/t/年

一般炭(輸入炭)

  発熱量26.6MJ/kg(単位発熱量)×32,000(t)×1,000(kg)=851,2000MJ/t/年

  この72千万MJもしくは85千万MJ発熱量が、東御市とりわけ羽毛山、下八重原、田中、県、本海野、常田等の気温をどの程度上昇させるのか検討がない。第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画としては不作為である。

 〈おわりに〉 

 東御市は信州ウッドパワー㈱を羽毛山工業団地に誘致した。東御市は誘致にあたり市民説明会を開催しない2019612日及び103日に回答した。市民説明を拒否する裏側では温室効果ガス削減量に貢献していると評価している。木材等燃焼時における二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)一酸化炭素(CO)等の排出量について試算もせず、木材燃焼にともなう発熱量と気温の上昇についても検証していない。この第2東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)は、市民のものといえない。

                                                                                    以上

 

提出者:M.K氏による

第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)についてのパブリックコメント       

❸ 第4章 削減目標及び施策 

 5.具体的な施策と取り組み内容 ~ ⑴再生可能エネルギーの利用促進

 ~2. バイオマスエネルギー設備の導入について (p.36)…

 この「カーボン・ニュートラル」についての説明は偏った情報を与えており、このような立場に立つ限り、東御市の環境への取り組み姿勢が本気だとは理解されないと思います。

❹(同頁)「木質バイオマスの普及促進」という定義(言葉の使い方)は違う

 「木質バイオマスエネルギー」は「普及促進」するようなものではない。「木質バイオマス」〜森林の伐採時に(用途が乏しく、運搬や利用に邪魔と)山に放置されてきた小枝などを「有効活用」できる=他のエネルギー(化石燃料原発)の消費を抑えることができる=「植物由来のバイオマスエネルギーの有効利用」が可能だということで、本来用途がある森林木材をあえてバイオマスエネルギーに使うために伐採するなど本末転倒、ましてや単にゴミや石炭のように燃やす(例えそれを電気エネルギーに転換するとしても)ことは、CO2の発生=温暖化促進になり、「バイオマスエネルギーの有効利用」ではないことをしっかり押さえて頂きたいと思います。

 

❺ 以下の情報をぜひご確認ください。

 2019年10月07日に、気候変動政策、環境経済学環境社会学、森林科学などの専門家、気候変動・バイオマス、森林保全などの市民団体など276人10団体が連名で、*「固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の認定に温室効果ガス削減評価を求める声明」を発表し、経済産業省環境省などに提出しました。

 FITにおけるバイオマス発電に、ライフサイクル全体における温室効果ガス(GHG)評価の導入を求めています。

 このニュースを、どのように認識しているのかを、お示しください。

 ❻ 第4章 削減目標及び施策 5.具体的な施策と取り組み内容 ~⑵市民・事業者・ 市による環境活動~4.「次世代自動車等の導入」(p.39)…には「東御市における部門別温室効果ガス排出量が約3割と最も多い、運輸部門の排出量削減は欠かせません。…」と書かれていますが、その施策には何も、具体的、積極的な内容が書かれていません。

 5.~⑶脱炭素に向けた地域環境の整備~2.自動車の利用低減の推進 (p.41)でも、「CO2 排出量が自家用自動車は鉄道の7倍、バスの約2.5倍…いかに自家用車の利用を減らし、公共交通機関及び自転車の利用を促進することが重要です」と書かれているのですが、施策の「デマンド交通の利用促進」には「〈市民〉デマンド交通の利用を心がけます」…としか書かれていません。「しなの鉄道の利用促進」も同様です。( p.48にはデマンド交通の利用促進~98人/日→108人/日とありますが、これが策定ですか?)

 

 採算性を理由に市民の公共交通を奪ってきた市が、今さら「環境に配慮を」と訴え「〈市民〉デマンド交通の利用を心がけます」などと掲げる安易さに、市民は絶望感すら覚えます。

 p.48では「地球温暖化対策・施策総括」3-1-②コンパクトなまちづくりの推進…事例研究中…本気で「東御市におけるCO2削減に欠かせない自動車の利用を減らす」のであれば、コンパクトシティー構想も含めた地域づくり、福祉、子育て…全市的なまちづくり構想に「環境に配慮したまちづくり」を位置づけるべきでしょう。

 

❼ p.46「地球温暖化対策・施策総括」1-3-②「その他再生可能エネルギー設備の導入」(施策名)~「情報収集を行い、導入の可能性を検討した。」(2018年度 実績状況)~「発電出力」(指標)~「1990kW」(施策目標)…について

 

 「1990kW」(施策目標)とはっきり明示されていることから、これは現在羽毛山区で建設が進む(株)信州ウッドパワーの木質バイオマス発電を指していると思われますが、この間、東御市()信州ウッドパワーの木質バイオマス発電所建設計画については、最初の計画段階から経過に関する一切を公表せず、1,700名以上の市民の署名を添えて再度要望した市民説明会の開催も一切必要はないと回答しており、市行政は一切関係ないという見解を出しています。

 

 素案の前段…第4章 削減目標及び施策5.具体的な施策と取り組み内容…⑴再生エネルギーの利用促進 3.その他再生可能エネルギーの導入促進 …(p.36)には「〈市・事業者〉積極的に導入します」とあるだけで、ここには何も具体的な取り組み内容は書かれていません。

 ところが、ここでは東御市の施策として書かれています。一体どういうことでしょう。

 ここに書かれている市の施策は、いつ、どのような会議で決定したのか、明らかにしてください。

 

 また2018年度の実績状況として「情報収集を行い、導入の可能性を検討した。」と書かれています。東御市市民生活部生活環境課は2018年度の何月何日に、どこに対して、どのような情報収集を行い、何の、どこへの導入の可能性を検討したのかを具体的にお示しください。

 

❽ 上記➐と関連します。今回の「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」は、2010年3月策定「東御市地球温暖化対策地域推進計画」でスタートし、2013年の中間数値目標の見直しを経て(2016年「第2次東御市環境基本計画」策定)今回2020年度からの新たな方針、施策、目標値を設定した…とあります。(p.1)

 

 そこでお聞きします。

 東御市が「東御市地球温暖化対策地域推進計画」に基づき検討してきた「その他再生可能エネルギー設備の導入」について、2010年から2019年までの年度ごとの具体的な検討内容を明らかにしてください。

 最後にある「資料編」に「東御市地球温暖化対策地域推進計画策定の経緯」がありますが、内容が全く書かれていません。その内容、特に上記「発電出力」(指標)がいつ、どのような経緯の中で誰から出され、どのような検討がなされてきたのかを明らかにしてください。

 

❾さいごに、地球温暖化という全地球的な差し迫った課題について、「東御市地球温暖化対策地域推進計画」を策定し、その計画に基づいて「審議会委員」や「協議会委員」が何度も集まり、「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」を策定したのであれば、その審議内容や検討の経緯を、もっと詳しく明らかにしていただきたかったと思います。素案を読む限り、こうした検討経過が何も見えてきませんでした。

 

 今後パブリックコメントを募集する際は、もっと具体的な、市民に届く目標をお示しいただきたいと思います。

                                   以上

 

「固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の認定に温室効果ガス削減評価

 を求める声明」 参考URL:http://www.foejapan.org/forest/biofuel/191007.html

 関連情報 バイオマス発電に関する共同提言」(2019.7.16)   http://www.foejapan.org/forest/library/190716.html

リネン吸着検査、継続中!

   大気中の放射性微粒子をキャッチするリネン(麻布)

 チェック市民会議のリネンチームが、11月の初旬から、発電所の周り十数か所

に、リネン(麻布)を張り出しています。

 

 発電所はまだ稼働していませんが、稼働前の大気の状態を調べるために、リネ

ン吸着検査を開始しました。

 

 発電所の煙突から吐き出されるばい煙にもし放射性微粒子が混じっていて、人

が吸いこんだら、微粒子は肺の奥まで(肺胞)侵入し、そこに沈着すると言われ

ています。その結果、内部被ばくが起こります。

 

 高性能のフィルターを通すから大丈夫と事業者は言いますが、バグフィルター

は漏らしながら集塵するフィルターで、集塵率はよくて、70%ほど。

 しかも、PM2.5以下の細かい粒子は捕捉できず、フィルターをすり抜けてしま

います。セシウムの大部分はPM1.0以下の細かい粒子に付着しているので、粒径

1.0μm以下の微小粒子を放出するのは大問題なのです。

 「バグフィルターは除塵率99.9%」という触れ込みですが、それは重量比であ

って、補足できる粒子の個数比ではありません。

 原子力対応のフィルター、HEPAフィルターならともかく、バグフィルターは

放射性微粒子には対応できません。

 

 また、空気中の粉塵の放射能量(Bq) は、空間線量(Sv) 計では測れません。

測定結果が、Bq(ベクレル)/ ㎥ (1立方メートルあたりの放射能量)という単

位で出るエアーダストサンプラーなら、測れます。

 

 チェック市民会議は、エアーダストサンプラー同様に放射能量を測れる、市民

が生み出した検査方法、リネン吸着法を使って、大気中の放射性微粒子のチェッ

クをし続けます。

  

 

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リネン吸着検査を始めました!

    木質バイオマスチェック市民会議・リネンチームが

         自主測定を開始しました。

 

 

 羽毛山地区に建設中の木質バイオマス(火力)発電所の周辺、数か所に、リネン(麻布)を張りました。

 大気中に浮遊する放射性微粒子は、エアーダストサンプラーという機器なら計測できますが、空間線量計では計測することができません。市民が編み出したもう一つの有効な測定方法として、「リネン(麻布)吸着検査」があります。

 そこで、私たちは、発電所が稼働する前から大気の状態を調べておくために、リネン吸着検査を開始することにしました。

 NPO法人市民放射能監視センター(ちくりん舎)が、あらかじめ線量がないことを確認したリネン布を、発電所周辺地域に一定期間張っておき、そのリネン布を「ちくりん舎」に送って、ゲルマニウム半導体検出器にて測ってもらいます。

 

 〈リネン吸着法調査をする理由〉

 

東信地方の木だけを燃やすと言うが、軽井沢や佐久地方のキノコや山菜はいまだに

出荷制限が継続されています。燃料となる木の生えている土壌の放射能汚染が心配です。長野県林野部も、千曲川以東の木炭には注意が必要という報告を出しています。

*事故から8~9年経った今、木は放射性プルームを被った樹皮だけでなく、根から吸い上げた水を通して、芯材の線量も上がっていると言われています。

 平成26年日本学術会議は、「チェルノブイリの知見によると、立木の放射線量のピークは10年~20年後」と報告しています。

放射能に汚染されたものを燃やせば、放射性物質は、100~200倍に濃縮されます。

*羽毛山の発電所に設置されるバグフィルターでは、PM2.5以下のものは捕捉できず、

セシウムは飛灰の表面に付着して大気中に拡散します。

PM2.5以下の微粒子は、肺の深部(肺胞)まで到達し、沈着部位に24時間以上滞留する。このため、PM2.5以下の微粒子は、気管支部に沈着する粒子よりも人体への影響が

大きく、呼吸器、循環器疾患や死亡率にも影響すると報告されています。

*福島や宮城で、除染されたものが燃やされています。除染土も再利用され、放射能ごみ処理が新たなビジネスになっています。また、除染されなかった山の木は、林業関係者の希望で伐採され、運び出されています。また、隣りの群馬県の木の放射線量も高いと言われています。

 

第3回青木一政氏講演会開催

 講演会 「 木質バイオマス発電は本当にエコか

           ~ 環境と健康への影響を考える ~ 」

 

 10月19日、発電所に一番近い公民館、大日向地区にある北御牧公民館にて、NPO法人市民放射能監視センターの副理事長、青木一政氏の講演会を行いました。

 台風19号の被害が川や道路にまだ生々しく、断水も続いていた大日向地区でしたが、そんな大変な状況であるにもかかわらず、約60名の方の参加があり、青木氏のお話に耳を傾けて下さいました。

 北御牧公民館はわかりづらい場所にあったのですが、建設地の地元の方たちが今まで以上に多く集まって下さいました。家族連れの方も見え、子どもさんを会場の後ろで遊ばせながら参加したり、年配の方も「知り合いに聞いて来た、これは大変なことだ」と思って来たと、最後まで青木氏のお話しに聞き入っていました。

 

    ノーニュークス・アジア・フォーラムの話から始めた青木氏

 

 今年の9月21日から25日まで、台湾で「第19回ノーニュークス・アジア・フォーラム」が開催されました。台湾は、アジアの中で、脱原発を先頭に立って進めている国です。

 青木一政氏は、その大会に日本代表の一人として参加されました。福島事故以降、福島内外の汚染の実態を調べ、それを伝えたり、またそういう実態の中でいかに人々の「被ばく」を低減させるかということを目的とし、市民放射能監視センターの活動を続けてこられました。

 青木氏は、このフォーラムに参加することで、世界の人たちにフクシマの「今」を伝えたいという思いでいっぱであったと言います。

 

 木質バイオマス発電の講演内容に入る前に、このフォーラムでの様子が紹介され、

ノーニュークス(No Nukes  非核)・アジア(Asia)に向けて、市民が、自治体が、国

がどう動いているかという世界の状況を伝えて下さいました。

 詳しくは、以下のHPをご覧ください。

    *ちくりん舎  http://chikurin.org/wp/

 *ノーニュークス・アジア・フォーラム https://www.nonukesasiaforum.org/japan/

 

      共同代表が挨拶、そしてこれまでの経過報告

 共同代表の川端真由美さんが、台風被害の片づけに忙しい中、集まって下さった市民の皆さんに感謝の言葉を述べ、これまでの活動の経過報告を行いました。

 

 2018年11月の信濃毎日新聞の記事と12月の東御市広報で、羽毛山地区に信州ウッドパワー(100%清水建設の子会社)が、木質バイオマス発電の建設を始めたということを知り、「木質バイオマス発電ってなに?」、「火力発電だったら、問題があるんじゃないの?」という問題意識を持った女性たち4人が、学習することを目的に「木質バイオマス発電を学ぶ会」を結成。

 そして、日本で一番この問題に詳しい「ちくりん舎」の青木一政氏に講演を依頼し、4月14日に第1回講演会「木質バイオマス発電とはなにか」を開催。

 と、報告し始めました。 

 

 この報告を聞き、最初の青木氏講演会から第3回の講演会までの期間が、半年あまりであったことに気がついた私は、びっくりしました。

 この間、実に多くのことが起こり、多くの方たちに出会い、助けていただきながら、ここまで来たことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 〈出会った方たち〉

 @東御の市民を心配し、駆けつけてきてくれた飯山市の市民(2018年夏、発電計画を

  中止にさせた市民)

 @講演会に駆けつけてくれたり、受付や宣伝等に協力してくれた友人・知人

 @「これは大変なことだ」と手作りのビラを作ってまき始めた市民

 @ミニ学習会を開き、周りに伝えていってくれた市民

 @市民説明会要望署名集めに奔走してくれた市民

 @「市民説明会要望書」や要望署名を一緒に東御市に提出したり、「説明会は開かな

  い」という拒否の回答を一緒に受け取った市民

 @何度も情報公開請求をし、水面下で進められた経過も含め、市民に情報を提供して

  くれた市民

 @そして何より、お忙しい中、東京や神奈川から東御市に駆けつけ、講演をしたり

  貴重なアドバイスをして下さる青木一政氏や「ちくりん舎」スタッフの皆さん 

 

 この方たち以外にも、わずか半年あまりの間にたくさんの方の力を寄せていただきました。そのおかげで、「学ぶ会」だけでなく、「木質バイオマス発電チェック市民会議」ができ、その会の中で4チームが活動する「今」があることを、共同代表の経過報告を聞く中で、確認することができました。

 

 〈4月14日の講演会開催以後の経過説明〉

 

 4月の講演会では、たとえ微量であっても放射能汚染された木材を燃やせばバグフィルターをすり抜けた微小粒子に付着したセシウムは大気に放出されることや、焼却灰や処理水はどこへ行くのか、といった木質バイオマス発電の問題を学ぶことができました。そこで『学ぶ会』は5月、東御市に対し「市民説明会の開催を求める要望書」を提出しましたが、市長は「議会は承認」し「地元への周知も行った」から「市民説明会は開くつもりはない」と回答しました。

 

 私たちは市の回答書を調べる中で、市の全ての議員が、「国の申請が下りるまでは公表しないでほしい」という企業と市の意向を承認し、市民に知られないように協力してきたことや、区の限られた役員への説明が「地元への周知」であったことを知りました。(地元区へは情報を流さないようにとの資料も)

 

 そこで「全東御市民に対する説明会」の開催を求める署名活動を展開し、二か月間で1300筆を超える署名を集めて9月3日、市に提出しました。(その後も継続した署名は9月30日現在、1600筆を越えました)

 

 当初(2014~2015年)の事業主体は(株)東京パワーテクノロジー東京電力グループ)で、発電規模は1万kw、燃料集材圏は群馬や新潟県にも及ぶものでしたが、すでに燃料(間伐材)の調達が難しくなっていたこともあってか、その後事業主体は(株)清水建設に変わりました。現在建設中の「信州ウッドパワー」(清水建設の100%子会社)の発電規模は1,990kwとFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)で40円/kwの利益が20年間保証される規模になり、燃料集材圏は放射能汚染の懸念がある地域を含む東信地域としています。

 

 私たちは10月3日、市から再度「市民説明会は開かない」という回答を受け取りました。理由は「事業主体は市ではなく企業」で、「環境に影響を及ぼさない事業と認識」しているという無責任極まりないものでした。

 

 私たちは市が何もしないまま進む木質バイオマス発電所に対し、市民がチェックをかけて行くしかないと、8月24日、『木質バイオマス発電チェック市民会議』を起ち上げました。

 

 そして今日、10月19日に、地元の北御牧公民館で青木氏の3回目の講演会「木質バイオマス発電は本当にエコなのか」を開催することになったわけです。

 

 青木氏が各地で指導・実施している「リネン吸着法検査」(自分たちの手で大気中の放射性微粒子を測定する)をスタートさせます。発電所が稼働する前と稼働後の大気の状況を調べて比較するためですが、市民が監視していることを業者や東御市に対して示す意味も込めた「市民の自主測定活動」です。

 合わせて燃料にするという東信地方の立ち木の放射能検査も開始しました。

 

         聴いて下さい、地元からの声

 第一回青木講演会から参加し続け、学習を深めていった羽毛山地区の住民の方からの訴えがありました。

 

 その方は、言います。地域では初め、「木質チップ工場が建設されるそうだ」と聞かされていた。火力発電所が建設されるということはまったく知らされていなかったと。

 そのうち、バイオマス発電所ができると聞いて、原発に比べ全く安全なものだろうから大丈夫だろうと、単純に理解していた。

 

 でも、学習を進めるうちに、これは簡単に行政の言いなりになって、イエスと言っていていいものだろうかと、疑問に思うようになった。

 旧東部町クリーンセンターの煙と火力発電所の煙が合体して、羽毛山地区に降り注ぎ堆積していくと考えたら、恐ろしくなった。

 今でさえ、クリーンセンターの煙は臭くてたまらない。子や孫にはきれいな空気の下で育ち生活してほしい。

 

 その上、この発電所の誘致が「住民に知られないように」と、水面下で進められていたことが市の議事録に書かれていたので、とてもびっくりした。

 

 そして、最後にこう付け加えました。

 

 先日の台風で崩落した田中橋、羽毛山橋はその田中橋より古いのです。

ここを毎日10トントラックが10台も通ることになるのですと。

 

 講演 

「木質バイオマス発電は本当にエコか? ~ 環境と健康への影響を考える ~」

 

【パワーポイント資料の目次】

1)福島は「アンダーコントロール」か?

2)日本政府・福島県原発事故の現実を隠蔽することに全力を注いでいる

3)木質バイオマス発電=木材を燃料にする火力発電所

4)全国木質バイオマス発電所一覧地図 急速に増加・大型化(7万5000kwクラスも)

5)木質バイオマス発電業者のホンネは 燃料の安定化が課題 山林はバイオマスの畑

6)輸入燃料チップ価格上昇 国内では木材チップ生産が急増

7)各地で発生するバイオマス発電所事故・不祥事

  上山の工場で爆発 民家に金属片(河北新報

  バイオマス発電所の騒音や臭気で苦情 対策求める請願、議会採択(京都新聞

  日本パルプ商事焼却灰出荷時に不正(日本経済新聞

8)2018.5可決 2019.4施行「森林経営管理法」 

  バイオマス発電のために森林を強制的に取り上げる

9)2019.6.5 成立「国有林野理経営法改正」

  国有林まで伐採権を民間業者に売り渡す! 再造林の義務は不明記

10) 環境省方針「放射能濃度がどんなに高くても燃やす」

11)除染・廃棄物技術協議会 東京電力の旗振りでごみ処理が新たなビジネスに

  廃棄物関連WG[第6期]メンバー企業30社

12)除染・廃棄物技術協議会 バイオマス発電も「放射能ごみ処理」の柱に 

  ゴミ焼却炉・セメント工場・バイオマス発電所放射能ばらまき施設に位置付け

13)福島県における森林除染をめぐる攻防

  「福島森林再生事業」で奥山間伐を推進。毎年47億円の予算

14)環境省のお墨付きー汚染木をバイオマス発電で燃やす

 (2012年  環境省「今後の森林除染の在り方に関する当面の整理について」)

15)放射能汚染された木材はどこへ行ったのか? 

   福島県田村市都路のはげ山の写真

16)焼却灰の主灰と飛灰

17)飛灰には微小粒子が大量に含まれる

18)  福島県の木材セシウム濃度はどのくらい?

19)  燃やせば飛灰の放射能は100倍濃縮される

20)無垢の木材を燃やしてもダイオキシンは発生する

21)不完全燃焼・de novo 合成によるダイオキシンの発生

22)木質チップの大半は建築廃材(解体材、廃材)

  有害物質は問題ないか?

23) 福島県甲状腺検査の最新情報(2019.6.30まで)

24)甲状腺がん発生は福島県だけではない

25)福島原発事故による乳幼児死亡率の増加

26)乳児の複雑新奇形手術 福島原発事故後に全国で増加

27)「発達障害の原因と発症メカニズム」より

28)チェルノブイリの経験だけでは語れない

 -日本での低線量被ばくの特別の危険性ー

29)焼却炉やバイオマス発電所に設置されているバグフィルターとは

30)バグフィルターで「99.9%捕捉できる」というが?

31)バグフィルターは漏らしながら集じんする

32)バグフィルターの不具合等の事例

  ユーザーは破損が「よく起きる」と回答

33)粉じん粒径と体内への取り込み

34)細かい粒子は肺の奥まで侵入する

35)吸入摂取の危険性

36)  セシウムはばいじん粒子の表面に付着している

37)微小粒子は表面積で考えなければならない

38)大気中の誇りの放射能を測る~一般的な方法

39)リネン吸着法-市民のアイディアで測定できることを実証

40)リネン吸着法測定結果

41)宮城県での農林業系汚染廃棄物焼却をめぐる動き

42)「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル」

43)アメダス上田、東御、立科の位置と風方向(年間)(四季)

44)局地循環流

45)年間風向を元にした拡散予測(上田、東御、立科に着目)

46)接地逆転層により汚染した空気は滞留する

47)リネン吸着法で監視する場合の設置案

48)リネン吸着法による監視の考え方

49)排水にも問題がないか監視が必要

50)「再生不可能なバイオマス発電」

  2019.8.17発行『絶望の林業』(田中敦夫著)

51)バイオマス発電における2つの潮流

 『バイオマス本当の話』(泊みゆき著)を参考に

 

*青木一政氏のお話は90分を越えるものでしたが、ほとんどの方が最後まで食い入る

 ように聞き入っていました。

 

*最新刊の『絶望の林業の中には、「再生不可能なバイオマス発電」という章があ

 ります。森林ジャーナリストの田中氏が林業の現場で出会った貴重な証言が取り上

 げられています。ぜひ、ご一読を  

  『 絶望の林業 田中敦夫著  新泉社 

   ~ 今、日本の林業現場で何が行われているのか? ~ 

   補助金漬け・死傷者続出・低賃金・相次ぐ盗伐・非科学的な施策

   官製〈成長産業〉の不都合な真実

 

*また今回の講演では、水の問題を、量の問題ではなく、排水・排液の質の問題、

 給排水フローの問題として、専門的に解説していただきました。

 

     「リネン吸着検査」を稼働前から実施します

                        リネン検査チームによる報告

 

 大気中に浮遊する放射性微粒子は、空間線量計では測れません。

p.m2.5などと言われる極小の微粒子は、ホコリを計測する「エアーダストサンプラー」という機器で計測します。

 

 私たちは、市民運動から生まれた「リネン(麻布)吸着法」という検査法で、放射性セシウムなどの微小粒子の拡散を監視します。

 稼働前から測定を行い、稼働後の大気の状態と比較します。

 全国で100か所以上の「リネン吸着検査」を行っている「ちくりん舎」の指導の下に

リネンを設置し、張り終わったリネンは、「ちくりん舎」のゲルマニウム半導体放射能測定器で計測してもらいます。

 

〈リネン吸着法の意義〉

 ①放射性セシウムなどの微小粒子の拡散を監視します。

 ②市民が監視を行うことで、事業者に対して、汚染木材・チップを使わせない牽制・

  抑止をかけます。

 ③監視を行うことで、市民・協力者の関心を高めていきます。

 

               終わりの言葉

 

 チェック市民会議共同代表の今村輝夫さんが、地元の住民として、まとめの言葉を

述べて下さいました。

 今村さんは八重原地区の区長をしていましたが、木質バイオマス発電建設について

一度も東御市から説明を受けたことがないと常々おっしゃっています。

 

 福島の人たちが、見せかけの除染によって次々に避難指定を解除され、賠償を打ち

切られ、半ば強制的に帰還させられたり、公営住宅に避難している自主避難者が懲罰

的に家賃を2倍にさせられ、追い出されようとしていることを取り上げ、国は福島を

見捨てるのかと、怒りをあらわにしました。

 そして、放射能ごみの基準を8000Bq/kg以上にまで引き上げ、それ以下は一般廃棄

物扱いにしているのなら、そういう環境省の方針の下に行われる木質バイオマス発電

事業は危険ではないかと訴え、東御市に対し説明会を求めた市民が、二度も開催を拒

否されたということは、われわれ東御市民も東御市に見捨てられたということかと投

げかけて、終わりの言葉とされました。