木バス発電ニュース No.9 から その2 焼却灰
協 定 書 チー ム
木質バイオマス火力発電所が羽毛山工業団地に誘致(注1)されたとき、環境への影響
を心配する東御市民などが、東御市長と清水建設=信州ウッドパワー㈱(WP)に説明
(注2)を求めました。この経過のなかで「木質バイオマス発電チェック市民会議」が結
成(注3)されたのでした。そして、搬入木材に福島第一原発事故由来の放射性物質が含
まれていないかなど、操業する前から環境汚染に関する問題を提起(注4)してきました。
東御市はWPと「環境をよくする条例」を基にした協定書を締結しています。しかし
この協定書は東御市と事業者が取り結ぶ一般的な協定書であり、「環境をよくする条
例」も火力発電所に対応した条例ではないのです。そのため、協定書を補完するとし
て、操業する前に急いで、東御市民や羽毛山区の関与なく「覚書」を締結(注5)しまし
た。「覚書」は東御市とWPは「市民から環境汚染に関する問題が提起された場合は、
協議を行い誠意をもって適切な対応に努める」(注6)こと、また「市民に対し、法と条
例等に則り情報提供を行う」(注7)としています。
その結果、「搬入木材及び燃焼灰の放射能濃度測定結果」は、本来は事業主体が公
表するところのものなのですが、東御市が代わりにホームページで、毎月公開してい
ます。焼却灰の測定を行い(注8)、市民に向けて情報提供する立場にある事業体がそれ
を実施していないので、誠実であるとは言えません。東御市は放射性物質のセシウム
137が含まれていることをデータで公表(掲載表参照)しています。セシウム137の最
高値は、2021年5月7日97.0±2.0(<8.4)が記録されています。また、2021年6月7日に
セシウム134が8.7±8.1とあるのは、セシウム134の半減期が2.1年と短いことを考える
と、この値は特異値です。この点、東御市生活環境課に確認しましたが、値は誤謬で
はないとしています。
さて、いずれの搬入木材にセシウム137が含まれているのでしょうか。WPはトレー
サビリティ―システムにより搬入木材の産地市町村名・団地名を記録している(注9)
はずです。WPは搬入木材の産地市町村名・団地名を情報提供すべきですが、公表す
る気配がなく誠実ではありません。東御市及びWPは「覚書」に従い、法と条例に則
り、市民に対し情報提供を行うべきでしょう。
今後も焼却灰の放射能濃度を一般食品の濃度基準である100Bq/kgを基準として注
視し続けることが大切です。この点では、木質バイオマス発電チェック市民会議は、
WPから排出される放射性物質に対して、行政から独立してリネン吸着法検査を実施
しています。
木質バイオマスチェック市民会議は、リネン吸着法検査による放射性物質の排出の
監視と、火力発電所への搬入木材及び焼却灰の放射能濃度の測定と結果の公表につい
ての監視を今後も継続していきます。
注1)2018年11月19日平成30年東御市議会第2回臨時会議案第84号財産の処分可決
注2)2019年5月24日、9月3日市民説明会開催要望書及び署名提出
注3)2019年8月24日設立総会
注5)2020年5月25日
注6)覚書8 注7)覚書9
注8)覚書1 注9)覚書2
搬入木材及び焼却灰の放射能濃度測定結果
(単位:Bq/kg)
№ |
測定日 |
測定検体名 |
検体正味 量(g) |
合算 |
セシウム137 |
セシウム134 |
1 |
令和2年6月11日 |
事業所敷地集積木材 |
264 |
不検出 (<4.4) |
不検出 (<1.9) |
不検出 (<2.5) |
2 |
令和2年7月3日 |
試運転中の焼却灰 (令和2年7月2日分) |
589 |
71.6±3.4 (<10.2) |
71.6±3.4 (<10.2) |
不検出 (<6.8) |
3 |
令和2年7月13日 |
事業所敷地集積木材 |
299 |
不検出 (<5.1) |
不検出 (<2.2) |
不検出 (<2.9) |
4 |
令和2年7月13日 |
試運転中の焼却灰 (令和2年7月2日分) |
449 |
93.2±2.9 (<8.7) |
87.5±2.1 (<6.3) |
5.7±0.8 (<2.4) |
5 |
令和2年7月28日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年7月26日分) |
591 |
91.5±3.6 (<10.8) |
91.5±3.6 (<10.8) |
不検出 (<7.3) |
6 |
令和2年8月17日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年8月16日分) |
630 |
62.1±3.3 (<9.9) |
62.1±3.3 (<9.9) |
不検出 (<6.9) |
7 |
令和2年9月4日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年9月4日分) |
871 |
87.3±3.1 (<9.3) |
87.3±3.1 (<9.3) |
不検出 (<5.9) |
8 |
令和2年10月2日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年9月30日分) |
843 |
71.3±2.4 (<7.2) |
71.3±2.4 (<7.2) |
不検出 (<5.6) |
9 |
令和2年11月4日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年10月30日分) |
790 |
74.6±2.5 (<7.5) |
74.6±2.5 (<7.5) |
不検出 (<6.0) |
10 |
令和2年12月7日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年12月4日分) |
758 |
90.5±3.0 (<9.0) |
90.5±3.0 (<9.0) |
不検出 (<6.1) |
11 |
令和3年1月5日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年1月2日分) |
823 |
68.0±2.2 (<6.6) |
65.0±2.7 (<8.1) |
不検出 (<5.2) |
12 |
令和3年2月8日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年2月4日分) |
828 |
65.0±2.7 (<8.1) |
65.0±2.7 (<8.1) |
不検出 (<5.3) |
13 |
令和3年3月8日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年3月7日分) |
726 |
87.3±3.2 (<9.6) |
87.3±3.2 (<9.6) |
不検出 (<6.4) |
14 |
令和3年4月6日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年4月4日分) |
825 |
56.0±2.9 (<8.7) |
56.0±2.9 (<8.7) |
不検出 (<5.7) |
15 |
令和3年5月7日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年5月5日分) |
744 |
97.0±2.8 (<8.4) |
97.0±2.8 (<8.4) |
不検出 (<6.3) |
16 |
令和3年6月7日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年6月6日分) |
904 |
87.6±3.5 (<10.5) |
78.9±2.3 (<6.9) |
8.7±8.1 (<8.1) |
17 |
令和3年7月19日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年7月18日分) |
819 |
95.1±3.3 (<9.9) |
95.1±3.3 (<9.9) |
不検出 (<6.5) |
18 |
令和3年8月23日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年8月20日分) |
806 |
74.6±2.4 (<7.2) |
74.6±2.4 (<7.2) |
不検出 (<5.3) |
19 |
令和3年9月21日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年9月20日分) |
838 |
61.9±2.9 (<8.7) |
61.9±2.9 (<8.7) |
不検出 (<5.4) |
20 |
令和3年10月25日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年10月22日分) |
782 |
95.9±3.2 (<9.6) |
95.9±3.2 (<9.6) |
不検出 (<5.9) |
21 |
令和3年11月24日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年11月21日分) |
802 |
66.0±2.7 (<8.1) |
66.0±2.7 (<8.1) |
不検出 (<5.2) |
※測定結果は随時更新いたします。
※()内は検出下限値で、『±』以下は、測定値誤差の範囲です。
※焼却灰の採取方法は、放射能濃度等測定方法ガイドライン(平成25年3月 第2版)
に準拠しています。
更新日:令和3年11月24日
以上東御市ホームページ トップページ>市民の皆さんへ>環境>環境保全>木質バイオマス発電>放射能濃度測定について
>PDF搬入木材及び焼却灰放射能濃度測定結果
木質バイオマス発電チェック市民会議により以下省略
[・測定器 TN300Bベクレルモニター(No.4のみゲルマニウム半導体検出器)・容器名 マリネリ・産地市町村名 「-」(No.1主に佐久市、上田市、No.3佐久市) ・団地名(No.1「-」No.3佐久市 他は「 \ 」)]
「木バス発電ニュース」No.9 2021.12 発行 より