木バス発電ニュース No.9 から その3 森林資源
福島原発事故から10年の節目、被災地への同情と私の憂い
共同代表 今村輝夫
コロナ禍の自粛の中、TVとお友達生活で、原発事故10年を迎えた報道、今でも続
く報道統制の中、特に10を超えるNHKの特集番組の数々を録画し、しっかり見ること
が出来て、改めて被災地の現状、進まぬ復興、残積する課題を確認することが出来ま
した。
中でも、放射能汚染問題(9/26NHKスペシャル【被爆の森2021変わりゆく大地】)
では、各大学・研究所が動植物の被曝による影響調査を中心とした報告で、チェルノ
ブイリ原発事故の放射能検査に取り組んだブァシスルイヨシェンコ教授は、7年前か
ら福島に移り住み、主に樹木の生態への影響を映像で、また数々の論文で報告してい
る番組でした。
報告では、樹木の種類にかかわらず蓄積された残留放射能レベルは減少せず、利用
価値を失った山々で、望みを捨てきれない住民たちが教授に協力し託した調査を見守
る中で、樹木の奇形など深刻な状態が映像で報告された番組で、報告に落胆する林業
関係者に同情する内容でした。
先祖代々守ってきた山々を「次の世代に残すために出来ることは」放射能を吸収し
た樹木の皆伐、山を丸坊主にして再生するしかない現状を、画面を通して我々に理解
を得ようとしている番組のようにも感じました。
別の番組(9/15 NHKクロ現+【宝の山をどう生かす森林大国・日本の飛躍・盗
伐・ハゲ山】)では、木材の値上がり、森林資源の有効活用を理由に林業の機械化が
進み大型重機を使い簡単に山々が丸坊主になる映像を重ね見ると、除染施策を見込ん
で木質バイオマス発電所が各地に作られてきたことなど、除染・山林の再生と放射能
のバラマキ不安が交錯します。
長野では、塩尻に出来た巨大木質バイオマス発電所の稼働に伴い燃料材の奪い合い
が進行し、被災地の除染木で不足する燃料木で補う方法を想像してしまい、私も「次
の世代のために」を考えると憂いが増すばかりの今日この頃です。
「木バス発電ニュース」No.9 2021.12 発行より