ちくりん舎のオンライン学習会のお知らせ
昨年末12月27日に大崎市住民訴訟における排ガス精密測定結果について、同裁判原告弁護団
から記者会見が行われました。
12月28日河北新報朝刊で排ガス調査結果が報道されましたのでご紹介いたします。河北新報
記事にありますようにバグフィルタからの微小粉塵漏れが計測できました。バグフィルタの粒
子個数濃度(質量基準)で99.99%回収しているから安全とする国立環境研の論文の結果の3か
ら13倍に当たる量です。これは裁判において原告側にとって極めて有力な証拠として主張でき
るものです。
記者会見当日に配布されました、ちくりん舎作成の分析結果報告はこちらからダウンロード
できます。
今回、残念ながらセシウム濃度は検出下限以下でした。これは大崎市の放射能ごみ焼却が一般
ごみとの混焼により極めて低濃度に希釈されていることによるものです。しかし、低濃度とはい
え、7年間もの間、セシウムを含むばいじんが大気中に排出されることは風や地形の影響で特定
の場所に滞留、蓄積され、住民の内部被ばくリスクを高めるものとなります。
本排ガス測定に際しては排ガス採取と分析の費用を原告側が負担しなければならなかったた
め、急きょ原告団・支援する会から寄付の呼びかけがおこなわれました。ちくりん舎もその呼
びかけをご紹介し、期限の11月13日までに330万円と目標を上回る寄付が集まりました。
ご寄付いただいた皆さまにあらためてちくりん舎からもお礼申し上げます。
リネン吸着法検査を支える「リネン基金」にご協力を!
2020年7月、信州ウッドパワー=清水建設は、建設地羽毛山区の住民の反対も押し切
私たちは講演会や木バスサロン等の学習を通じ、再生可能エネルギーに位置付けられ
環境に良いと思われがちな木質バイオマス火力発電所が、実は2012年には放射性廃棄物
の減容化施設として位置付けられていること、福島の森林がどんどん伐採されて運び出
されていること、清水建設がそれを企業として推進するグループに所属していること、
またここ長野県の東信地方にも放射性プルームの影響を受けている地域が存在し現にキ
ノコや山菜の出荷制限が出ていたり、薪の基準値(40Bq/kg)を超えた木材が出ている
ことなどから、放射性物質を含む木材の燃焼の可能性を想定しました。毎日100トンも
の木材を燃やす発電所の燃料材は、約束通り安全な地域の間伐材由来の自社で生産した
木質チップだけなのか、大気中に放射性微粒子は浮遊しないのか。
私たちは、「リネン吸着法検査」によって大気中に浮遊する放射性微粒子を見張って
いく監視活動を継続的に行っていきます。
リネン吸着法検査とは大気中に浮遊する放射性微粒子(セシウム)をリネン布に吸着
させ、リネン布ごとゲルマニウム半導体検出器にかけセシウムを測定する方法です。既
存の検査機器としてはエアーダストサンプラーがありますが、ばい煙中の放射性微粒子
の微小さを考えると、リネン吸着法の方がより効率よくセシウムを捕集できると言われ
ています。又高額で騒音のするエアーダストサンプラーは市民測定には不向きです。日
本の「大気汚染防止法」は抜け穴だらけの法律で、2011年の福島原発事故以後もあえて
放射性物質の検査項目を設けず、浮遊粒子状物質(PM10)と微小粒子状物質(PM2.5)
と粒径の大きさにより二種類の微粒子があり環境基準も別々にあるにも関わらず、大気
汚染防止法に基づいた検査項目に微小粒子状物質の項目を入れていません。また、バグ
フィルターは粒径 0.3㎛までの微粒子しか捕捉できませんが、ばい煙中の微粒子の個数
の9割は0.3㎛以下です。
ただ今、稼働後3回目(稼働前検査1回)のリネン吸着法検査を行っていますが、
前回の検査(2021年5月~9月)では、一か所のポイントから微量のセシウム137を
検出しました。このことからも、私たちはなお一層「リネン吸着法検査」を重視して
いかねばならないと思っています。
検査には、一回につき12万円の資金が必要になります。リネン吸着法検査を支える
ための「リネン基金」を創設し、多くの市民の皆さんのご協力を得ながら、年に2回の
リネン吸着法検査を行っていきます。
「リネン基金」へのご協力をどうぞよろしくお願い致します。
「リネン基金」1口500円
振込口座: ゆうちょ銀行
00520-3-87641
加入者名: 木質バイオマス発電チェック市民会議
備考欄に、リネン基金 口 とご記入下さい。
木バス発電ニュース No.9 から その3 森林資源
福島原発事故から10年の節目、被災地への同情と私の憂い
共同代表 今村輝夫
コロナ禍の自粛の中、TVとお友達生活で、原発事故10年を迎えた報道、今でも続
く報道統制の中、特に10を超えるNHKの特集番組の数々を録画し、しっかり見ること
が出来て、改めて被災地の現状、進まぬ復興、残積する課題を確認することが出来ま
した。
中でも、放射能汚染問題(9/26NHKスペシャル【被爆の森2021変わりゆく大地】)
では、各大学・研究所が動植物の被曝による影響調査を中心とした報告で、チェルノ
ブイリ原発事故の放射能検査に取り組んだブァシスルイヨシェンコ教授は、7年前か
ら福島に移り住み、主に樹木の生態への影響を映像で、また数々の論文で報告してい
る番組でした。
報告では、樹木の種類にかかわらず蓄積された残留放射能レベルは減少せず、利用
価値を失った山々で、望みを捨てきれない住民たちが教授に協力し託した調査を見守
る中で、樹木の奇形など深刻な状態が映像で報告された番組で、報告に落胆する林業
関係者に同情する内容でした。
先祖代々守ってきた山々を「次の世代に残すために出来ることは」放射能を吸収し
た樹木の皆伐、山を丸坊主にして再生するしかない現状を、画面を通して我々に理解
を得ようとしている番組のようにも感じました。
別の番組(9/15 NHKクロ現+【宝の山をどう生かす森林大国・日本の飛躍・盗
伐・ハゲ山】)では、木材の値上がり、森林資源の有効活用を理由に林業の機械化が
進み大型重機を使い簡単に山々が丸坊主になる映像を重ね見ると、除染施策を見込ん
で木質バイオマス発電所が各地に作られてきたことなど、除染・山林の再生と放射能
のバラマキ不安が交錯します。
長野では、塩尻に出来た巨大木質バイオマス発電所の稼働に伴い燃料材の奪い合い
が進行し、被災地の除染木で不足する燃料木で補う方法を想像してしまい、私も「次
の世代のために」を考えると憂いが増すばかりの今日この頃です。
「木バス発電ニュース」No.9 2021.12 発行より
木バス発電ニュース No.9 から その2 焼却灰
協 定 書 チー ム
木質バイオマス火力発電所が羽毛山工業団地に誘致(注1)されたとき、環境への影響
を心配する東御市民などが、東御市長と清水建設=信州ウッドパワー㈱(WP)に説明
(注2)を求めました。この経過のなかで「木質バイオマス発電チェック市民会議」が結
成(注3)されたのでした。そして、搬入木材に福島第一原発事故由来の放射性物質が含
まれていないかなど、操業する前から環境汚染に関する問題を提起(注4)してきました。
東御市はWPと「環境をよくする条例」を基にした協定書を締結しています。しかし
この協定書は東御市と事業者が取り結ぶ一般的な協定書であり、「環境をよくする条
例」も火力発電所に対応した条例ではないのです。そのため、協定書を補完するとし
て、操業する前に急いで、東御市民や羽毛山区の関与なく「覚書」を締結(注5)しまし
た。「覚書」は東御市とWPは「市民から環境汚染に関する問題が提起された場合は、
協議を行い誠意をもって適切な対応に努める」(注6)こと、また「市民に対し、法と条
例等に則り情報提供を行う」(注7)としています。
その結果、「搬入木材及び燃焼灰の放射能濃度測定結果」は、本来は事業主体が公
表するところのものなのですが、東御市が代わりにホームページで、毎月公開してい
ます。焼却灰の測定を行い(注8)、市民に向けて情報提供する立場にある事業体がそれ
を実施していないので、誠実であるとは言えません。東御市は放射性物質のセシウム
137が含まれていることをデータで公表(掲載表参照)しています。セシウム137の最
高値は、2021年5月7日97.0±2.0(<8.4)が記録されています。また、2021年6月7日に
セシウム134が8.7±8.1とあるのは、セシウム134の半減期が2.1年と短いことを考える
と、この値は特異値です。この点、東御市生活環境課に確認しましたが、値は誤謬で
はないとしています。
さて、いずれの搬入木材にセシウム137が含まれているのでしょうか。WPはトレー
サビリティ―システムにより搬入木材の産地市町村名・団地名を記録している(注9)
はずです。WPは搬入木材の産地市町村名・団地名を情報提供すべきですが、公表す
る気配がなく誠実ではありません。東御市及びWPは「覚書」に従い、法と条例に則
り、市民に対し情報提供を行うべきでしょう。
今後も焼却灰の放射能濃度を一般食品の濃度基準である100Bq/kgを基準として注
視し続けることが大切です。この点では、木質バイオマス発電チェック市民会議は、
WPから排出される放射性物質に対して、行政から独立してリネン吸着法検査を実施
しています。
木質バイオマスチェック市民会議は、リネン吸着法検査による放射性物質の排出の
監視と、火力発電所への搬入木材及び焼却灰の放射能濃度の測定と結果の公表につい
ての監視を今後も継続していきます。
注1)2018年11月19日平成30年東御市議会第2回臨時会議案第84号財産の処分可決
注2)2019年5月24日、9月3日市民説明会開催要望書及び署名提出
注3)2019年8月24日設立総会
注5)2020年5月25日
注6)覚書8 注7)覚書9
注8)覚書1 注9)覚書2
搬入木材及び焼却灰の放射能濃度測定結果
(単位:Bq/kg)
№ |
測定日 |
測定検体名 |
検体正味 量(g) |
合算 |
セシウム137 |
セシウム134 |
1 |
令和2年6月11日 |
事業所敷地集積木材 |
264 |
不検出 (<4.4) |
不検出 (<1.9) |
不検出 (<2.5) |
2 |
令和2年7月3日 |
試運転中の焼却灰 (令和2年7月2日分) |
589 |
71.6±3.4 (<10.2) |
71.6±3.4 (<10.2) |
不検出 (<6.8) |
3 |
令和2年7月13日 |
事業所敷地集積木材 |
299 |
不検出 (<5.1) |
不検出 (<2.2) |
不検出 (<2.9) |
4 |
令和2年7月13日 |
試運転中の焼却灰 (令和2年7月2日分) |
449 |
93.2±2.9 (<8.7) |
87.5±2.1 (<6.3) |
5.7±0.8 (<2.4) |
5 |
令和2年7月28日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年7月26日分) |
591 |
91.5±3.6 (<10.8) |
91.5±3.6 (<10.8) |
不検出 (<7.3) |
6 |
令和2年8月17日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年8月16日分) |
630 |
62.1±3.3 (<9.9) |
62.1±3.3 (<9.9) |
不検出 (<6.9) |
7 |
令和2年9月4日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年9月4日分) |
871 |
87.3±3.1 (<9.3) |
87.3±3.1 (<9.3) |
不検出 (<5.9) |
8 |
令和2年10月2日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年9月30日分) |
843 |
71.3±2.4 (<7.2) |
71.3±2.4 (<7.2) |
不検出 (<5.6) |
9 |
令和2年11月4日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年10月30日分) |
790 |
74.6±2.5 (<7.5) |
74.6±2.5 (<7.5) |
不検出 (<6.0) |
10 |
令和2年12月7日 |
商業運転中の焼却灰 (令和2年12月4日分) |
758 |
90.5±3.0 (<9.0) |
90.5±3.0 (<9.0) |
不検出 (<6.1) |
11 |
令和3年1月5日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年1月2日分) |
823 |
68.0±2.2 (<6.6) |
65.0±2.7 (<8.1) |
不検出 (<5.2) |
12 |
令和3年2月8日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年2月4日分) |
828 |
65.0±2.7 (<8.1) |
65.0±2.7 (<8.1) |
不検出 (<5.3) |
13 |
令和3年3月8日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年3月7日分) |
726 |
87.3±3.2 (<9.6) |
87.3±3.2 (<9.6) |
不検出 (<6.4) |
14 |
令和3年4月6日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年4月4日分) |
825 |
56.0±2.9 (<8.7) |
56.0±2.9 (<8.7) |
不検出 (<5.7) |
15 |
令和3年5月7日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年5月5日分) |
744 |
97.0±2.8 (<8.4) |
97.0±2.8 (<8.4) |
不検出 (<6.3) |
16 |
令和3年6月7日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年6月6日分) |
904 |
87.6±3.5 (<10.5) |
78.9±2.3 (<6.9) |
8.7±8.1 (<8.1) |
17 |
令和3年7月19日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年7月18日分) |
819 |
95.1±3.3 (<9.9) |
95.1±3.3 (<9.9) |
不検出 (<6.5) |
18 |
令和3年8月23日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年8月20日分) |
806 |
74.6±2.4 (<7.2) |
74.6±2.4 (<7.2) |
不検出 (<5.3) |
19 |
令和3年9月21日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年9月20日分) |
838 |
61.9±2.9 (<8.7) |
61.9±2.9 (<8.7) |
不検出 (<5.4) |
20 |
令和3年10月25日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年10月22日分) |
782 |
95.9±3.2 (<9.6) |
95.9±3.2 (<9.6) |
不検出 (<5.9) |
21 |
令和3年11月24日 |
商業運転中の焼却灰 (令和3年11月21日分) |
802 |
66.0±2.7 (<8.1) |
66.0±2.7 (<8.1) |
不検出 (<5.2) |
※測定結果は随時更新いたします。
※()内は検出下限値で、『±』以下は、測定値誤差の範囲です。
※焼却灰の採取方法は、放射能濃度等測定方法ガイドライン(平成25年3月 第2版)
に準拠しています。
更新日:令和3年11月24日
以上東御市ホームページ トップページ>市民の皆さんへ>環境>環境保全>木質バイオマス発電>放射能濃度測定について
>PDF搬入木材及び焼却灰放射能濃度測定結果
木質バイオマス発電チェック市民会議により以下省略
[・測定器 TN300Bベクレルモニター(No.4のみゲルマニウム半導体検出器)・容器名 マリネリ・産地市町村名 「-」(No.1主に佐久市、上田市、No.3佐久市) ・団地名(No.1「-」No.3佐久市 他は「 \ 」)]
「木バス発電ニュース」No.9 2021.12 発行 より
木バス発電ニュース No.9 から その1 放射性微粒子
なぜ放射性微粒子の検査を市民が行わねばならないのか
西山貴代美
「木質バイオマス発電チェック市民会議」の主な活動「リネン吸着法検査」を、市民
の手で行う意義について述べたい。
2019年の春、「木質バイオマス発電を学ぶ会」として、ちくりん舎の青木一政氏を講
師に招き、木質バイオマス発電について学び始めた。その中で、ちくりん舎が市民運動
の中で生み出した「リネン吸着法検査」によって、発電所のばい煙中に含まれる放射性
物質・セシウムの微粒子を監視できることを知った。
当初、市民の中には「そんな検査は行政にやらせればよい」という者もいたが、私た
ちは市民が検査を行うことによって、秘密裏に建設を計画し実行していった東御市と事
業者を監視することができると思い、定期的な市民測定を始めていった。そして、学習
や測定活動を進めていくうちに、日本の法律や制度の中では、行政や事業者は、大気中
に浮遊する放射性微粒子の検査などは行わないということに気づいていった。
2011年の東電福島第一原発事故以前は、放射性物質の拡散を想定していなかったため
環境基本法第13条で、放射性物質による汚染防止の措置は原子力関連法で対処すること
となっていた。しかし原発事故後の2013年、その13条が削除され、環境関連法で対処す
るということになった。環境関連法で対処するという方向性は間違っていないが、実は
ここに落とし穴がある。肝心の大気汚染防止法や水質汚濁防止法等の個別法において
は、放射性物質による環境汚染の防止は適用除外とされたままで、環境大臣が放射性物
質による大気汚染・水質汚濁の状況を常時監視するということにしたのである。環境省
やその外部組織の原子力規制委員会が常時監視を行うのだが、放射性物質に関する環境
基準を定めておらず、ただモニタリングするだけで、放射能汚染されたものとしての対
象量の把握、処理に関する基準や方法、処理主体も規定されていない。
また、焼却処理する場合の排ガスに関しては環境基準を定めていても、セシウム137
が30Bq/㎥という極めて緩い基準であるため、バグフィルターのろ布ユニットが30%く
らい壊れていても、問題なくクリアしてしまうという、基準がないと言ってもいいくら
いの基準となっている。
次に微粒子に関する測定の問題だが、2009年にPM2.5と呼ばれる粒径2.5μm以下の微
小粒子についての環境基準が定められた(1年平均値15μg/㎥、かつ1日平均値35μ)。し
かし、これは「法令によらない注意喚起」という規定の項目であって、「大気汚染に係
る環境基準」ではない。「大気汚染に係る環境基準」項目は、二酸化硫黄、一酸化炭
素、浮遊粒子状物質(PM10)、二酸化窒素、光化学オキシダントのみ。だから、行政
が行う大気汚染調査では微小粒子状物質(PM2.5)は対象とならない。環境影響評価に
おいても、微小粒子状物質を測定しないということを、上田クリーンセンター環境影響
評価の説明会で知って、愕然とした。人体に及ぼす悪影響は微小粒子状物質の方が断然
高いというのが、専門家の間でも常識であるし、新聞でもそのことが報道されている。
このような法と政治における不作為、抜け穴があることを、市民は知らなければいけな
い。
最後に放射性微粒子について、ちくりん舎の青木一政氏から学んだことをお知らせし
たい。青木氏は、現在、大崎市放射能汚染ごみ焼却住民訴訟において、焼却炉排ガス精
密測定を被告である大崎市に認めさせ、測定を実施し終え、次なる公判に備えておられ
るところだが、環境省が定める排ガス測定法の「公定法」を検出限界を下げて(排ガス
収集量を20倍、ゲルマ測定時間を172倍に)行うことによって、バグフィルターからセ
シウムが漏れ出していることを実証しようとしている。
青木氏から頂いた資料によると、大気中浮遊粒子は微小粒子が極めて多く、大気中微
粒子中の微小粒子の個数比率は、0.1μm以下が75%で、0.3μm以下になると、約90%であ
る。そして、粒子が微小であるほど粒子中のセシウム濃度が高い。小さな容積の中にセ
シウムがぎゅっと詰め込まれているわけだ。
微小粒子は、肺の深部まで到達し、沈着部位に24時間以上滞留する。微小粒子がセシ
ウムであった場合、肺胞に留まったセシウムはガンマ線を出し続け、人体を内部被ばく
させる。しかも、排出されづらい不溶性のセシウムが約80%を占めている。
日本のJIS規格では、排ガス捕集用のろ布の集塵性能は、0.3μmまでの大きさの粒子ま
でにしか対応していない。自家用車の1年点検時に訪れた整備会社に置いてあったチラ
シにも、エアフィルターは「0.3μmの粒子にまで捕集効果を発揮」と書いてあった。
焼却炉や発電所のバグフィルターは、微小粒子状物質(PM2.5)用ではなく、浮遊粒子
状物質(PM10)用のろ布であり、0.1μm以下の微小粒子はほぼ捕捉できない。だから、
リネン吸着法検査で、市民が放射性微粒子の監視をする以外にないのである。
『木バス発電ニュース」 2021年12月発行 No.9 より
オンライン学習会「ストップ!焼却による放射能のまき散らし」報告
『放射線被ばくを学習する会』主催の、オンライン被ばく学習会「ストップ!焼却に
よる放射能まき散らし」は107名の方の参加で、大盛況でした。
放射能汚染された稲わらなどを燃やすことに反対してきた宮城県大崎市住民訴訟の
弁護団、原告団、支援する会からのお話に続いて、青木一政さん(ちくりん舎)から
以下のような興味深いお話がありました。
・尿の放射性セシウム測定により、体内のセシウム量を感度よく測れる。
体内のセシウムが数十ベクレルを超えると健康影響との相関関係が見られるという
報告がある。
・大崎市の放射性ごみ焼却の風下では、リネン(麻布)に吸着する放射性セシウムが
増加する。
・近くの町で、放射能ごみの焼却開始後、空間線量率が上昇した。
・排煙のセシウムをバグフィルターで99.9~99.99%除去できると環境省は言っている
が、排ガス基準は非常にゆるく(30Bq/㎥)、バグフィルターが破れていても基準
をクリアする。
・焼却によって放射能がまき散らされるかどうか、確認するには感度の高い測定が必
要なことを裁判官に理解してもらい、11月15日から実施することになったが、
その測定費用の250万円以上を住民側が用意する必要がある。
しかも、被告である大崎市が感度の高い排ガス測定についてさまざまな難癖をつ
けて妨害しているという青木さんのお話は、実にリアルでした。
青木さんの資料のP.63の「実施にあたり新たに出てきた問題」に、どんな難癖を
つけているかが書かれてあります。被告が原告提案の「測定」をいかに怖がって
いるかがわかります。
そのため原告団は、測定費用として当初予定していた250万円の他に、30万円が
必要であるということで、引き続きカンパを募っています。
学習会動画はhttps://www.youtube.com/watch?v=diSaD4921v8
青木さんのお話はhttps://www.youtube.com/watch?v=diSaD4921v8#t=1h12m30s
青木さんのスライド資料はhttp://anti-hibaku.cocolog-nifty.com//blog/files/1103aoki_c.pdf
松浦弁護団長のスライド資料はhttp://anti-hibaku.cocolog-nifty.com//blog/files/1103matuurabs2_c.pdf