「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」についてパブリックコメント提出
東御市生活環境課は、昨年12/6 から本年1/6にかけて、「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」についてのパブリックコメントを求めました。
チェック市民会議は、東御市羽毛山に建設中の木質バイオマス発電に大いに関係する内容だと思い、メンバーの何人かが、パブリックコメントを提出しました。
そのパブコメのうち、二つをご紹介します。
提出者:T.S氏による
【第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)・パブリックコメント(抜粋)
➀第1次計画の「取り組み内容」のCHECKがされていない。
②国の主な地球温暖化対策一覧(表4-2)について
東御市(都道府県及び市町村)は国の主な地球温暖化対策一覧にしたがって「対策ケース」算定していること。
温暖化対策・施策ごとの導入量を想定し、温室効果ガス削減量を試算する。各削減量を積み上げて、対策・施策による削減量を試算する。そして都道府県及び市町村の集計を行い国の削減量としていること。
③具体的な施策と取り組み内容について
「施策名」「行動主体」「取り組み内容」が一般的に記載され、「地球温暖化対策・施策総括表」において「2018年実績状況」とともに「短期(2022年)」及び「長期(2030年)」削減量が試算されている。
④施策外の削減量について
「施策外の削減量」とは「2013年度から2019年度までに実施した施策により削減できた温室効果ガス削減量(単年度実績は除く)」及び「国の取り組みによる当市での削減量推計」である。東御市の過去の計画効果及び国の計画効果である。
「短期(2022年)」市効果39.5%、国29.8%、市+国=69.3%
「長期(2030年)」市効果19.9%、国55.6%、市+国=55.6%
東御市第2次計画効果率「短期(2022年)」30.7%、「長期(2030年)」24.5%に過ぎない。
〈信州ウッドパワー導入について〉
➀再生可能エネルギーの導入促進、有効性や実現性の研究〜地球温暖化対策・施策総括表 …とあるが、信州ウッドパワー導入の検討経過が示されていない。
発電のエネルギー効率について評価、熱エネルギー利用は常識〜発電施設導入との比較検討を行うべき。研究が行われていない。
「情報収集を行い、導入の可能性を検討した」というエビデンス(evidence)を示すことなく企業誘致を行ってはならない。
②信州ウッドパワー導入による削減量7,956.8tについて
削減量7,956.8tについて「積み上げ法による排出量算定支援ツール」の計算経過が表示されているが、木質バイオマス発電所は木材等を燃焼させるという特質から木材等燃焼時における二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)等の排出量について試算を行うべきである。試算が行われていないのは不作為である。
③信州ウッドパワー導入によるCO2総量の増加について
木質バイオマスを燃焼させて発生させたCO2は大気中のCO2総量を増加させている。発生させたCO2量を植物などに吸収固定させない限りカーボンニュートラルと呼べない。エビデンス(evidence)を示さないでカーボンニュートラル論を振り回してはならない。
④信州ウッドパワー導入による木材燃焼にともなう発熱量と気温の上昇について
木材燃焼にともなう発熱量(MJ/kg:メガジュール/kg)について検討がされていない。
一般炭(国内炭)
発熱量2.5MJ/ kg(単位発熱量)×32,000(t)×1,000(kg)=720,000MJ/t/年
一般炭(輸入炭)
発熱量26.6MJ/kg(単位発熱量)×32,000(t)×1,000(kg)=851,2000MJ/t/年
この7億2千万MJもしくは8億5千万MJ発熱量が、東御市とりわけ羽毛山、下八重原、田中、県、本海野、常田等の気温をどの程度上昇させるのか検討がない。第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画としては不作為である。
〈おわりに〉
東御市は信州ウッドパワー㈱を羽毛山工業団地に誘致した。東御市は誘致にあたり市民説明会を開催しない2019年6月12日及び10月3日に回答した。市民説明を拒否する裏側では温室効果ガス削減量に貢献していると評価している。木材等燃焼時における二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)等の排出量について試算もせず、木材燃焼にともなう発熱量と気温の上昇についても検証していない。この第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)は、市民のものといえない。
以上
提出者:M.K氏による
第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)についてのパブリックコメント
❸ 第4章 削減目標及び施策
5.具体的な施策と取り組み内容 ~ ⑴再生可能エネルギーの利用促進
~2. バイオマスエネルギー設備の導入について (p.36)…
この「カーボン・ニュートラル」についての説明は偏った情報を与えており、このような立場に立つ限り、東御市の環境への取り組み姿勢が本気だとは理解されないと思います。
❹(同頁)「木質バイオマスの普及促進」という定義(言葉の使い方)は違う
「木質バイオマスエネルギー」は「普及促進」するようなものではない。「木質バイオマス」〜森林の伐採時に(用途が乏しく、運搬や利用に邪魔と)山に放置されてきた小枝などを「有効活用」できる=他のエネルギー(化石燃料や原発)の消費を抑えることができる=「植物由来のバイオマスエネルギーの有効利用」が可能だということで、本来用途がある森林木材をあえてバイオマスエネルギーに使うために伐採するなど本末転倒、ましてや単にゴミや石炭のように燃やす(例えそれを電気エネルギーに転換するとしても)ことは、CO2の発生=温暖化促進になり、「バイオマスエネルギーの有効利用」ではないことをしっかり押さえて頂きたいと思います。
❺ 以下の情報をぜひご確認ください。
2019年10月07日に、気候変動政策、環境経済学、環境社会学、森林科学などの専門家、気候変動・バイオマス、森林保全などの市民団体など276人10団体が連名で、*「固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の認定に温室効果ガス削減評価を求める声明」を発表し、経済産業省、環境省などに提出しました。
FITにおけるバイオマス発電に、ライフサイクル全体における温室効果ガス(GHG)評価の導入を求めています。
このニュースを、どのように認識しているのかを、お示しください。
❻ 第4章 削減目標及び施策 5.具体的な施策と取り組み内容 ~⑵市民・事業者・ 市による環境活動~4.「次世代自動車等の導入」(p.39)…には「東御市における部門別温室効果ガス排出量が約3割と最も多い、運輸部門の排出量削減は欠かせません。…」と書かれていますが、その施策には何も、具体的、積極的な内容が書かれていません。
5.~⑶脱炭素に向けた地域環境の整備~2.自動車の利用低減の推進 (p.41)でも、「CO2 排出量が自家用自動車は鉄道の7倍、バスの約2.5倍…いかに自家用車の利用を減らし、公共交通機関及び自転車の利用を促進することが重要です」と書かれているのですが、施策の「デマンド交通の利用促進」には「〈市民〉デマンド交通の利用を心がけます」…としか書かれていません。「しなの鉄道の利用促進」も同様です。( p.48にはデマンド交通の利用促進~98人/日→108人/日とありますが、これが策定ですか?)
採算性を理由に市民の公共交通を奪ってきた市が、今さら「環境に配慮を」と訴え「〈市民〉デマンド交通の利用を心がけます」などと掲げる安易さに、市民は絶望感すら覚えます。
p.48では「地球温暖化対策・施策総括」3-1-②コンパクトなまちづくりの推進…事例研究中…本気で「東御市におけるCO2削減に欠かせない自動車の利用を減らす」のであれば、コンパクトシティー構想も含めた地域づくり、福祉、子育て…全市的なまちづくり構想に「環境に配慮したまちづくり」を位置づけるべきでしょう。
❼ p.46「地球温暖化対策・施策総括」1-3-②「その他再生可能エネルギー設備の導入」(施策名)~「情報収集を行い、導入の可能性を検討した。」(2018年度 実績状況)~「発電出力」(指標)~「1990kW」(施策目標)…について
「1990kW」(施策目標)とはっきり明示されていることから、これは現在羽毛山区で建設が進む(株)信州ウッドパワーの木質バイオマス発電を指していると思われますが、この間、東御市は(株)信州ウッドパワーの木質バイオマス発電所建設計画については、最初の計画段階から経過に関する一切を公表せず、1,700名以上の市民の署名を添えて再度要望した市民説明会の開催も一切必要はないと回答しており、市行政は一切関係ないという見解を出しています。
素案の前段…第4章 削減目標及び施策5.具体的な施策と取り組み内容…⑴再生エネルギーの利用促進 3.その他再生可能エネルギーの導入促進 …(p.36)には「〈市・事業者〉積極的に導入します」とあるだけで、ここには何も具体的な取り組み内容は書かれていません。
ところが、ここでは東御市の施策として書かれています。一体どういうことでしょう。
ここに書かれている市の施策は、いつ、どのような会議で決定したのか、明らかにしてください。
また2018年度の実績状況として「情報収集を行い、導入の可能性を検討した。」と書かれています。東御市市民生活部生活環境課は2018年度の何月何日に、どこに対して、どのような情報収集を行い、何の、どこへの導入の可能性を検討したのかを具体的にお示しください。
❽ 上記➐と関連します。今回の「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」は、2010年3月策定「東御市地球温暖化対策地域推進計画」でスタートし、2013年の中間数値目標の見直しを経て(2016年「第2次東御市環境基本計画」策定)今回2020年度からの新たな方針、施策、目標値を設定した…とあります。(p.1)
そこでお聞きします。
東御市が「東御市地球温暖化対策地域推進計画」に基づき検討してきた「その他再生可能エネルギー設備の導入」について、2010年から2019年までの年度ごとの具体的な検討内容を明らかにしてください。
最後にある「資料編」に「東御市地球温暖化対策地域推進計画策定の経緯」がありますが、内容が全く書かれていません。その内容、特に上記「発電出力」(指標)がいつ、どのような経緯の中で誰から出され、どのような検討がなされてきたのかを明らかにしてください。
❾さいごに、地球温暖化という全地球的な差し迫った課題について、「東御市地球温暖化対策地域推進計画」を策定し、その計画に基づいて「審議会委員」や「協議会委員」が何度も集まり、「第2次東御市地球温暖化対策地域推進計画(素案)」を策定したのであれば、その審議内容や検討の経緯を、もっと詳しく明らかにしていただきたかったと思います。素案を読む限り、こうした検討経過が何も見えてきませんでした。
今後パブリックコメントを募集する際は、もっと具体的な、市民に届く目標をお示しいただきたいと思います。
以上
*「固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の認定に温室効果ガス削減評価
を求める声明」 参考URL:http://www.foejapan.org/forest/biofuel/191007.html
関連情報 「バイオマス発電に関する共同提言」(2019.7.16) http://www.foejapan.org/forest/library/190716.html