木質バイオマス発電

信州の 山なみ見わたす 陽だまりの町・東御市、ここに木質火力発電所ができるって?!

「バイオマス発電は再エネと認めない」EU規制強化へ

        英フィナンシャル・タイムズ電子版より
 
 欧州連合EU)の欧州委員会は、木材燃焼で発電する電力の一部を再生可能エネルギー
から除外する方向の規制強化を検討している。背景には、環境団体や専門家からの圧力の
高まりがある。
 英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が確認した内部文書によると、欧州委は、木材や
有機性廃棄物を原料とする可燃性ペレットを使うバイオマス電力を再生可能エネルギー
みなすかどうかの基準となる「持続可能性基準」の厳格化を提案する予.定だ。
などを上回っている。
 フィンランドスウェーデンなど、EU主要加盟国の中でもバイオマス発電への依存度の
高い国は、EUの「再生可能エネルギー指令」を変更しないよう働きかけている。
 これに対し、環境活動家らは木材を原料とするバイオマス電力はすべて再生可能エネル
ギーの分類から除外すべきだと訴えている。
 内部文書は、「ノーゴー・エリア」と呼ばれる多様性の高い原生林からの木材は「再生
可能」と認めるべきではないとしている。
 EUバイオマス総発電量のうち、原生林由来の木材を使用する電力は約18%を占める。
EU指令の適用対象は現在、発電容量20メガワットを超える発電施設に限られているが、
正案ではこれを5メガワットに引き下げて適用対象を広げる方針
 また、欧州委員会は加盟国に対し、質の高い木材を発電原料として使用するのは他の原
料を使い切った場合に限ることも求める方針だ。
 環境団体や専門家らは木材の燃焼を伴う発電は二酸化炭素CO2)を排出し、「カーボ
ンシンク」とよばれる森林によるCO2吸収の機能を低下させると訴えている。欧州委に対
しては、再生可能エネルギー指令を改正し森林由来の原料を使った電力を再生可能エネル
ギーと認めないよう求めている。
 欧州委のフランス・ティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)は、バイオマス発電
がなければ、EUは2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする野心的な気候目標を達
成できないと発言している。
 同氏は5月にEUの政策に特化したメディア、ユーラクティブに対して、「全体の中で
イオマス発電は必要な部分だ。だが、それは適切なバイオマスである必要がある。バイ
オマスといえば)森林を丸ごと切って焼却炉に放り込むという見方は容認しがたい。それ
は持続可能でないし、議論として成立しない」という。
 欧州委は30年までに再生可能エネルギー比率を32%にするという現行目標を、40%近く
まで引き上げる見込み。これは、今後数週間のうちに最終決定される見通しだが、FTが入
手した内部文書には明記されていない。
 この見直しには加盟国の規模などを加味した「特定多数決」での賛成多数と欧州議会
過半数の賛成が必要となる。
 EUは欧州全域でCO2排出量の削減に拍車をかけるために大胆な法改正を進めている。
生可能エネルギー指令の改正もその一環で、7月中に改正案が公表される見通し。EUは今後
10年で1990年比で55%の削減を目指している。
 人権・環境保護の非政府組織(NGO)、グローバル・ウィットネスの温暖化ガス担当上
級活動家ドミニク・イーグルトン氏は「欧州委は、自分たちの再生可能エネルギー指令は
その名が明らかに示している通りに、再生可能なエネルギーだけを支持している、と言明
すべきだ」と語った。
                               By Mehreen Khan
           (2021年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 )