「バイオマス発電は再エネと認めない」EU規制強化へ
英フィナンシャル・タイムズ(FT) 紙が確認した内部文書によると、欧州委は、 木材や
みなすかどうかの基準となる「 持続可能性基準」の厳格化を提案する予.定だ。
これに対し、 環境活動家らは木材を原料とするバイオマス電力はすべて再生可能 エネル
ギーの分類から除外すべきだと訴えている。
内部文書は、「ノーゴー・エリア」 と呼ばれる多様性の高い原生林からの木材は「再生
可能」 と認めるべきではないとしている。
EU指令の適用対象は現在、 発電容量20メガワットを超える発電施設に限られているが、 改
正案ではこれを5メガワットに引き下げて適用対象を広げる方針 。
また、欧州委員会は加盟国に対し、 質の高い木材を発電原料として使用するのは他の原
料を使い切った 場合に限ることも求める方針だ。
環境団体や専門家らは木材の燃焼を伴う発電は二酸化炭素( CO2)を排出し、「カーボ
ンシンク」 とよばれる森林によるCO2吸収の機能を低下させると訴えている 。欧州委に対
しては、 再生可能エネルギー指令を改正し森林由来の原料を使った電力を再 生可能エネル
ギーと認めないよう求めている。
イオマス発電は必要な部分だ。だが、 それは適切なバイオマスである必要がある。( バイ
オマスといえば) 森林を丸ごと切って焼却炉に放り込むという見方は容認しがたい。 それ
は持続可能でないし、議論として成立しない」という。
欧州委は30年までに再生可能エネルギー比率を32% にするという現行目標を、40%近く
まで引き上げる見込み。 これは、今後数週間のうちに最終決定される見通しだが、 FTが入
手した内部文書には明記されていない。
EUは欧州全域でCO2排出量の削減に拍車をかけるために大胆な 法改正を進めている。 再
生可能エネルギー指令の改正もその一環で、 7月中に改正案が公表される見通し。 EUは今後
10年で1990年比で55%の削減を目指している。
By Mehreen Khan
(2021年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 )