木質バイオマス発電

信州の 山なみ見わたす 陽だまりの町・東御市、ここに木質火力発電所ができるって?!

木質バイオマス火力発電所試運転に対する声明

                                    

                                                                                                  2020年6月12日

                                                                     木質バイオマス発電チェック市民会議

                                                                                       共同代表 川端 眞由美

 

                         信州ウッドパワー㈱による火力発電所試運転に対する声明

                       及び東御市と信州ウッドパワー㈱「覚書」締結に対する要求

はじめに

 信州ウッドパワー㈱は2020年6月11日試験運転を開始した。東御市は5月28日、「木質バイオマス発電所稼働に伴う環境保全に関する協定書および覚書」を市ホームページに市民がたどり着けない様態でアップした。これでは市民に対して説明したことにはならない。昨年から木質バイオマス発電チェック市民会議は説明を求め続けてきたが、いまに至るも東御市と信州ウッドパワー㈱及び清水建設㈱は説明責任を果たしたことはない。

 「東御市環境をよくする条例」は火力発電所を想定していない。このことは同第2条事業者との「特定事業または開発事業」「協定書第10条に基づく協議事項」を精査すれば明らかである。2018年11月19日締結「協定書」は一般企業における「遵守の義務」(協定書第2条)にとどまる。「公害等の発生防止」(同条)に十分ではないと東御市が認めたため、2020年5月25日に「覚書」を締結したのである。

 

1 覚書(「木質バイオマス燃料」)に対する要求について

 「覚書」「別表第1」「木質バイオマス燃料に係る放射能対応措置」「木質バイオマス燃料(1)」について、表面線量率の測定は意味をなさない。このため「覚書2」のトレーサビリティーシステムにより搬出地が特定された木質バイオマス燃料の放射能物質濃度を測定し公表することを求める。東御市内の表面線量率0.04μSv(マイクロシーベルト)という周辺立木の放射能物質濃度の測定値の公表を求める。

 放射能物質濃度の判定基準値の公表を求める。搬出地特定の網目単位の公表を求める。放射能物質濃度の測定の継続を求める。ちなみに「事業等の概要」では「定期的に測定し、放射性濃度を公表する」としており「覚書」と齟齬がある。

「覚書」「別表第1」「木質バイオマス燃料に係る放射能対応措置」「木質バイオマス燃料(2)敷地境界における空間放射線量率を測定」について、測定の継続を求める。

 

2 覚書(「焼却灰」)に対する要求について

 「覚書」「別表第1」「木質バイオマス燃料に係る放射能対応措置」「焼却灰」について、表面線量率の測定は意味をなさない。信州ウッドパワー㈱火力発電所一般廃棄物焼却施設に該当しない。また産業廃棄物焼却施設に該当しない。よって一般廃棄物処理施設における放射性物質のモニタリングについて」(長野県環境部)を根拠とした測定基準値500Bq/kgの撤回を求める。「公害基準のしおり」(長野県環境部水大気環境課)放射能に係る基準等」に基づく「廃棄物」の「再生利用」(100Bq/kg以下、400Bq/kg以下)「処分」(8,000Bq/kg以下、超)を求める。

 表面線量率の測定は意味をなさない。よって換算による放射性物質濃度は管理の名に値しない。「主灰」及び「飛灰」の放射性物質濃度の測定を求める。「主灰」「飛灰」の放射能物質濃度の測定の継続を求める。

3 覚書(「飛灰」「PM2.5」)に対する要求について

 「覚書」「別表第2」「大気汚染防止対策に係る措置」について、「へパフィルター」に比して「高性能の集じん装置」とは言えない「バグフィルター」ではPM2.5は完全に捕捉できない。「飛灰」(PM2.5)の飛散は防止できない。PM2.5に付着したセシウム137吸引による内部被曝の懸念を払拭できない。大気状態検査の継続を求める。

 

4 覚書(水質等)に対する要求について

 「覚書」「別表第3」「水質汚濁防止対策に係る措置」について、「必要項目」の特定と公表を要求する。測定頻度の確定と公表を要求する。測定の継続を求める。

 

5 覚書不足項目に対する要求について

 「排出側溝水温」37℃(平成30年8月29日木質バイオマス施設説明記録)及び「排出ガス温度」172℃(受理平成30年10月29日特定事業届出書附表4)について測定とその環境影響調査を求める。「覚書」は2019年11月25日に木質バイオマス発電チェック市民会議が要望した項目を裏切るものである。ここで再度公害防止に係る「監視」項目(上記1~4、新規5)を要望として掲げた。

 

6 覚書は東御市と信州ウッドパワー㈱の2者協定であることについて

 2019年12月末、北御牧地区羽毛山区において82%の比率で稼働反対の署名が集められた。羽毛山区は、2020年3月8日東御市による羽毛山区説明会を経て「覚書」の当事者とならなかった。覚書は東御市が望んだ地元が参加した3者ではなく2者協定である覚書は、火力発電所反対を表明した地元を無視した稼働を前提としたものである。

 

7 環境をよくする条例の改正について

 木質バイオマス発電チェック市民会議は3月、東御市長選挙立候補予定者及び東御市議会議員に公開質問を行った。市議会議員等の「環境をよくする条例」「協定書」と条例は「火力発電所を想定」しているかという回答に揺らぎが確認された。このため東御市東御市議会に対して「東御市議会は東御市環境をよくする条例を火力発電所を想定して改正すること」など4点を申し入れた。

 

おわりに

 私たちは、木質バイオマス火力発電所が招来するであろう「想定外の事態」の「予見可能性」を指摘してきた。すでに東信地域(軽井沢・御代田)の立木及び灰の放射性物質濃度の測定を行った。また稼働前の基準値を得るため10か所で「リネン吸着法検査」を実施した。16,200Nm3(ノルマルリューベ)/時の排ガス量、59,000t/年のCO2(二酸化炭素)を排出する火力発電所が環境に影響を与えないはずがない。今後も火力発電所環境負荷が及ぶ関係地元地区市民とともに木質バイオマス火力発電所を誘致した自治東御市及び信州ウッドパワー㈱(清水建設㈱)に「絶対的な安全性の確保」について説明を求めたい。ここに、木質バイオマス発電チェック市民会議は公害防止について「監視」するという東御市を「監視」していくことを表明する。

                                  以 上