木質バイオマス発電

信州の 山なみ見わたす 陽だまりの町・東御市、ここに木質火力発電所ができるって?!

学習交流集会 in 郡山 2020 に参加してきました

     学習交流集会と放射能汚染地現状視察ツアーに参加して

                            共同代表  今村輝夫

 

〈仮設焼却炉で燃やされる可燃ガレキ〉

 研究者の講演の中で、津波地震で破壊された家屋や原発爆発事故で汚染された可燃ガレキが、被災地に急きょ作られた仮設焼却炉(岩手、宮城県内に31基、福島に24基)で燃やされたこと、その仮設焼却炉は2~3年で闇に消えたということ、そして、報道自粛の環境下で、何もなかったかのように片付けられたということを聞いた。

 翌日のツアーで、高い囲いの中に、まだ稼働中の焼却場を確認し、巧妙な隠蔽の模様を想像することができた。

 間伐材燃料からパーム油燃料へ〉

 全国に建設中の、または稼働中の木質バイオマス発電所で今起こっていることは、国策的なもので、持続可能な再生エネルギー政策の下、里山管理に有効と考えた間伐材を利用する計画で始めていったが、間伐材を利用するには、山に木材運び出しの道路を作ったり、伐採作業をしたり、木材の運搬をしたりせねばならず、コストが高く、採算が取れないことが分かった。それで、輸入燃料(パームやし油、やし殻、ピートモス木質ペレット)を使うバイオマス発電にシフトしていき、沿岸地に木質バイオマス発電所を作るようになっていった。

 東南アジアでは、パームやし農場を拡大するため、熱帯雨林を焼き畑的に燃やしたところ、泥炭地のため、地面が燃えて、オーストラリアやアマゾンの大火災とともに、大量のCO2が発生し、地球温暖化進行の原因と指摘されるようになった。有識者や、環境NGO発電所周辺の市民により、CO2を吸収し酸素を放出する熱帯雨林をこれ以上減少させないために、バイオマス発電所でのパーム油の使用反対の運動が燃え上がっている。では、内陸部の東御市発電所は何を燃やすのか?

 我が家でも電気使用料金明細書を確認すると、「再生エネ発電促進賦課金」として、1割強の料金が上乗せされている。しかし、この賦課金が燃料輸入に使われ、他国の産業を奨励したり、地球温暖化を促進し、気象非常事態を招き、豪雨災害の原因となって国民を苦しめる皮肉な現実につながっている。

 里山除染 増え続ける汚染木〉

 放射能環境に育つ木の多くは、吸収した放射能は葉の部分に蓄えられ、落葉する。風が吹くたびに枯れ葉が移動する。除染して落ち葉を取り除いても汚染が繰り返されることから、人家近くの山は、住民の要求で丸坊主に伐採され、汚染木材、汚染ゴミが増え続ける。案内人によると、道路わきに見られた「黒いフレコンバッグ」は見えないところに片付けられていたが、帰宅困難地域で一般人が入れない地域に進んで行くと、白い高い囲いの中に数えきれないフレコンバックが山積みされ、分別、焼却を待っている。その面積は、八重原全域の数倍の面積に当たり、想像すらできない。

  8000Bq/kgは、汚染木を福島県外で燃やせるようにするための数値〉

 環境省が公布している基準値、8000Bq/kg以下はただのゴミと決めた理由もわかった。福島の居住勧奨地域の木材の放射能レベルを調べたところ、最高値が8000Bq/kgだったことから基準値と決めていたと、研究者がつきとめ、これにより、福島県外で燃やせるようにしたようである。全国にばら撒き、汚染地の拡大を容認したこととなる。これが環境省の実態である。発電所は堂々と燃やせることになるし、我々の税金での補助金まで付いてくる。コスト高の間伐材は不要! やりきれない!

 聖火ランナーコースはテレビに映るところだけ見栄え良く〉

 復興五輪に向けて、報道が自粛され、忖度も進み、現地に行ってこそ見えた、聞けた現実がある。被災地の聖火コースのスタート地点では、テレビに映るところは見栄え良く整えられているが、それを見て、復興が進んでいると誤解しないように。案内人によれば、住宅地の20m以内の範囲、道路から2mの範囲の草刈りと除染をしているだけでまだ人が住めない地域の除染はこれからだということがわかった。帰宅困難地域の廃屋の解体が始まり、まだまだ除染ゴミは増え続ける一方で、そして全国にばら撒かれることになる。

 〈復興とは程遠い現実〉

 除染中の田んぼを見た。規定の5cmの表土を取り除き、きれいな客土に入れ替えても、雨が降る度に汚染は土中に浸み込み、根を張る部分の土は汚染され、作物が作れない。また、津波が押し寄せた田んぼは、塩害で作物が作れない。このような死んだ農地が広大にあり、使い道はソーラー発電か、水耕栽培野菜工場しかない。また、耕作する人たちも帰っていない。復興とはほど遠い現実だった。

  八重原も放射能汚染は、なんとしてでも防がなければならない。力を貸して下さい。