木質バイオマス発電

信州の 山なみ見わたす 陽だまりの町・東御市、ここに木質火力発電所ができるって?!

東御市の木バスの活動が、雑誌「たぁくらたぁ」に載りました!

    泥付き地域マガジン「たぁくらたぁ52号」に掲載されました。     

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タイトル・市民に隠して建設された木質バイオマス発電所

 

 亡き関口鉄夫先生が編集委員として関わっておられた情報誌「たぁくらたぁ」最新号には、
 
東御市の木質バイオマス発電問題の記事の他、Looop社のメガソーラーを止めた諏訪地域
 
の取り組み「森を守る運動は、諏訪全域に広がった」や、茅野市の取り組み「地域の運動は
 
科学的根拠のもとに」という記事など、注目の記事が盛り沢山です。
 
平安堂上田店、しおだ野店、コラボ食堂などに置いてありますが、以下のアドレスからもお求
 
めになれます。
 
facebook も開設されました。覗いて下さい。
 
 また、「たぁくらたぁ」の編集長である野池元基さんが、11月13日の「週刊金曜日
 
に、福島原発事故の安全PRを請け負う電通の情報公開について書いています。
 
 同じく元朝日新聞記者の本田雅和さんも「3.11直後からの新たな『原子力安全
 
神話』づくり」という記事を書いています。
 
あわせてお求めください。
 
 
もくじはこちらです。
 

 

 

 

木質バイオマス発電を考えるオンラインシンポジウム

 10月25日、木質バイオマス発電を考えるための全国ネットワーク作りを目

指して、オンラインシンポジウムが開かれました。

 チェック市民会議の共同代表の川端眞由美も東御市の木質バイオマス発電

について活動報告をしました。

 以下、YouTube で視聴できます。ぜひご覧下さい。

 

www.youtube.com

「高レベル放射性廃棄物」はふやさない、埋めない!

  地学研究の専門家集団が、「高レベル放射性廃棄物」の地層処分について

 「日本ではありえない!」という見解を述べるブックレットを出しています。

  そのご紹介です。

 

 

           地学団体研究会ブックレットシリーズ13

   「高レベル放射性廃棄物」はふやさない、埋めない

     ― 「科学的特性マップ」の問題点 ―

       「科学的特性マップ」を考える会 著 オールカラーA5判44頁

          頒価100円 送料:9冊まで100円 10冊以上無料

 

 福島第一原発の重大事故後、各地の原子力発電所の再稼働と、「高レベル放射性廃棄物」の処分が大きな問題となっています。

 「高レベル放射性廃棄物」はその強い放射能が弱まるまでの約10万年間、安全に保管しなければなりません。国は、これを地下に埋めて保管(地層処分)すると言っています。

 地元の反対などもあり、地層処分地の選定が進まない状況で、処理を急ぐ政府は、2017年に資源エネルギー庁から「科学的特性マップ」を公表しました。

 これは、地層処分について「好ましい地域」と「好ましくない地域」を区分した地図です。これを元に、全国で「対話型全国説明会」を開催して、処分地の応募を進めようとしています。

 日本は、地震や火山の活動が活発な変動帯に属していて、地下に「高レベル放射性廃棄物」を安全に保管する場所はないと考えられます。「科学的特性マップ」には、地質を専門とする立場から見逃すことができない多くの問題点があるのです。

 本書は、「科学的特性マップ」と地層処分についての問題点を整理し、「高レベル放射性廃棄物」の発生、地層処分の問題点や解決の道筋などが系統的に学習できる構成になっており、基礎的な事項やトピック的な内容についても知ることができます。

 44ページと手軽な冊子なので、学習会などでもご使用いただけます。多くの方が、「科学的特性マップ」と地層処分について考えていただければと思います。

 本書はすでに8000人ほどの方々に読んでいただいています。

 

************************************

 地学団体研究会(地団研は、大学教員・地質技術者・小中高の教員・学生・

 院生・一般の研究者などで構成される日本学術団体の学術登録団体です。

  URL: https://www.chidanken.jp    E-Mail:chidanken@tokyo.email.ne.jp

 

 「科学的特性マップ」を考える会 は、地団研の有志でつくる会です。

   本書の申し込み先は下記です。

   担当:金井克明 E-Mail:kanai-jy@joetsu.jp TEL: 090-2169-0566

 

~~~~~~~~     目   次     ~~~~~~~~~

   はじめに

 A 「核のゴミ」の発生と地層処分

  1 「核のゴミ」をどうする?     

  2   破綻した核燃料サイクル

  3 「核のゴミ」の地層処分      

  4   地層処分地の選定と地層処分の費用

   コラム1 原子力発電で電気を起こすしくみ

   コラム2 原子力発電のエネルギーはウランの核分裂反応

   コラム3 原発の燃料であるウラン鉱石

   コラム4 日本の原子力発電の現状

   コラム5 原発事故は取り返しがつかない

   コラム6 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(抜粋)

  B 「科学的特性マップ」の問題点

  1 「科学的特性マップ」とは?    

  2 「科学的特性マップ」と地震

  3 「科学的特性マップ」と活断層    

  4 「科学的特性マップ」と火山

  5 「科学的特性マップ」と地下水の流れ 

  6  福島第一原発の汚染水と地下水問題

   コラム1 地層処分地の公募と住民運動

   コラム2 「科学的特性マップ」の策定と「対話型全国説明会」

   コラム3 ドイツのアッセⅡ核廃棄物処理場の失敗

   コラム4 迷走するアメリカのユッカマウンテン処分場計画

   コラム5 深地層研究のデータ公開と科学的議論を

   コラム6 さらに詳しく知りたい方のために

  C 「核のゴミ」の処分をどうするか

  1  地層処分について学術会議などの見解

  2 「核のゴミ」の処分は、社会的合意で!

   コラム1 地層処分および原子力政策の歴史(年表)

   コラム2 日本と世界の原子力発電所などの重大事故(年表)

   図表類の出典  「科学的特性マップ」を考える会の活動

 

  2019年7月  第1刷発行    

  2019年9月  第2刷発行

  201911月  第3刷発行 (好評により第3刷を頒布中)

 

「木質バイオマス発電を考えるオンライン・シンポジウム」のご案内

 木質バイオマス発電を考えるオンライン・シンポジウム
       全国ネットワークへ向けて

 

日 時:2020 年 10 月 25 日(日)14 時~16 時

 (会議室は 15 分前に開けます)

●ZOOM を用いたオンライン・シンポジウム
   事前申し込みにより、前日までに ZOOM 会議室 URLをメールにて通知します。

 下記から申し込み下さい。
    https://forms.gle/fkpsiLw8VmApskCi6
  ※ZOOM の使いかたが分からない方は、本文最後のお問い合わせ先にメールまたは

   お電話下さい。

●参加費無料

●要 旨
 飯舘村では超高濃度の樹皮を燃やすバイオマス発電建設計画が発表されました。これ

に象徴されるように、今、福島では放射能汚染した森林を伐採して燃やすバイオマス

電計画が進められています。

 放射能汚染木を燃料とする木質バイオマス発電は放射能の再拡散=バラマキという重

大な問題をはらんでいます。
 放射能汚染問題だけではありません、FIT 制度の下に全国各地で急増する木質バイオ

マス発電は様々な問題を抱えています。膨大な燃料確保のための無秩序な森林伐採が国

内外で行われています。これによる生態系の破壊、洪水、土砂崩れの発生、騒音、異臭

事故などの問題を引き起こしています。

 大型木質バイオマス発電は熱効率が悪く CO2 発生を増大させています。

 こうした状況の中で、全国各地で木質バイオマス発電問題に取り組む運動がありま

す。心配や危惧をいだいている個人の方々も多くいらっしゃるはずです。こうした全国

の状況を共有化し問題解決のヒントを探るためのオンライン・シンポジウムを開催した

いと思います。オンライン形式ですので、お気軽に広く全国の皆さまが参加されること

を期待します。

●よびかけ団体

  フクロウの会(福島老朽原発を考える会)

  放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会

  木質バイオマス発電チェック市民会議(長野県東御市

  ちくりん舎(NPO 法人市民放射能監視センター)

 

シンポジウムの内容

(1)趣旨説明

(2)各地からの現状報告

 ①長野県東御市から・・・  木質バイオマス発電チェック市民会議  川端眞由美
 ②新潟県三条市から・・・  未来の生活を考える会・三条      鶴巻敏樹
    ③福島県田村市から・・・  大越町の環境を守る会      久住秀司
    ④飯舘村その他福島県の状況・・放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会  和田央子

(3)各地からの発言
  伊達市から(予定)他

    ※各地からの発言を希望する方は事前にご連絡をいただけるとスムーズです。

(4)コメント
   ①FIT 制度からみた木質バイオマス発電をめぐる問題と課題・・FoE Japan 満田夏花
   ②木質バイオマス発電の技術的問題・・ちくりん舎 青木一政

(5)Q&A と総合討論

 ●お問い合わせ先
  090-7245-7761 (ちくりん舎・青木)lab.chikurin@gmail.com
  090-8116-7155(フクロウの会・阪上)fukurounokai@gmail.com

第2回木バスサロンを開きました!

《第2回 木バスサロン(2020.09.25) 報告》

 

パワーポイント 

「着工直前まで隠された木質バイオマス発電所計画」をめぐる経過を紹介しながら

約1年間を振り返りました。

  • 信毎記事「木質バイオマス、東御に発電施設、清水建設子会社」(2018.11.7)
  • 「木質バイオマス発電を学ぶ会」が花岡市長に市民説明会の開催を求める要望書を提出した時の写真(2019.05.24)
  • 「木質バイオマス発電チェック市民会議の発足」(201908.24)を伝える東信ジャーナルの記事
  • 市民説明会の開催を求める1,322名の署名用紙を高藤市民生活課長に手渡した時の写真(2019.10.03)

 パワーポイント 

チェック市民会議のメンバーが9月初旬に見て回った以下の施設の写真を示しながら、

東北、北海道の木質バイオマス発電所やごみ焼却施設についてその概要を説明しました。

 

資料 「尽きない放射能ビジネス、終わらない放射能汚染」  

      (「ふぇみん」2020.09.15 記事)

 福島県飯舘村は、環境省が除染廃棄物等の仮設焼却施設に使用してきた蕨平の跡地

に、来春、木質バイオマス発電所を建設する計画を発表しました。

 「放射能ゴミを考えるふくしま連絡会」「市民放射能監視センター(ちくりん

舎)」は、『この計画は、「福島再生加速化交付金」などを使い、放射能に強く汚染さ

れた被災12市町村に滞留するバーク(樹皮)や林地残材を、「有価物」として扱うなど

「新たな放射能ビジネス」である』と問題を指摘し、直ちに計画を撤回するように求め

る要請書を、75の賛同団体とともに村長宛に提出しました。

 超党派国会議員連盟原発ゼロの会」も、復興相と農水相に事業への交付金を実施し

ないように要請しました。

原発ゼロの会:公式ブログ → blog.livedoor.jp/gempatsu0/ 7月2日参照)

 

 そもそも環境省は、森林除染は行わないとしているのである。

 

意見交換

*「7月から稼働が始まったウッドパワーの木質バイオマス火力発電所の煙突からは、

 煙は何も見えない」「クリーンセンターの煙は見える」という意見に対し、

 「高温で燃やす設備なので煙は出ないのか」

 「高温で燃やすと煙は出ないものなのか?」

 「完全燃焼すれば煙は出ないが、目に見えない細かい粒子、有害物質は出る」

 「バグフィルターは掃除機と同じで風が抜けることで灰を吸着するが、必ず破裂す 

  る。その時、一気にばい煙が飛び出す…それがもっともこわい!」

 など、木質バイオマス火力発電所の煙について、参加者による活発な意見交換が行わ

 れました。

 

* ウッドパワーが燃料材として伐採、搬入しているエリアには、「3.11福島原発事故

 由来の放射能汚染地域」が含まれる可能性がある。

 東御市は「覚書に基づく手順書」で、セシウム137の沈着地域の木材を、沈着量によ

 り、放射能表面線量測定や放射能濃度を測定するとしていますが、チェック市民会議

 は、搬入自体の禁止を求めたい。

 

*また、市は「地元羽毛山区及び市民の皆様が、安全に生活が出来ていると判断される

 まで測定を継続する」と述べて、焼却灰の放射能濃度を測定しています。

 ということは、「地元区や市民がしっかり監視していくこと」が要件となっていると

 いうことです。しっかりと、監視していきましょう!


その他

①地質学が専門の会員から、核のゴミの地層処分やNUMOの「科学的特性マップ」の

 問題点等についてわかりやすく解説したブックレット 「高レベル放射性廃棄物

 は ふやさない、埋めない』(¥100) の紹介がありました。

 

「たぁくらたぁ」(季刊マガジン)の編集者の方は、「電通が仕掛けて成功した、

 莫大な資金を使いTOKIOを起用した『原発事故は無かったことにするキャンペーン』

 を情報開示すると、真っ黒だった」

 「状況をいきなり変えることは難しいが、それぞれが課題に取り組んでいくことが

 大切である」と発言されました。(「たぁくらたぁ」HP:r.goope.jp/ta-kura-ta  )

 

 ③ 原発の高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定に向けた「文献調査」

 に手を挙げた北海道寿都町に対し、応募しないよう求める署名活動(呼びかけ団体:

 生活クラブ生協・北海道、北海道平和運動フォーラム等)についての協力要請に応

 えました。

 

 ④ 7月29日の 広島地裁 『黒い雨訴訟』の判決は、(1945年当時はわからなかった) 

  「内部被ばく」の影響を認め、原告84名に被爆者健康手帳の交付をするように、被告

   である広島市及び広島県に対し命じた画期的なものです。

   この判決は、3.11福島原発事故による放射能被害のことにもつながることから、国、

   県、広島市の控訴の取り下げを求める「共同声明」が、「原発事故被害者団体連絡 

   会(ひだんれん)」「伊方原発広島裁判原告団」等によって提出されました。

 チェック市民会議は、内部被ばくの問題は重要な問題であると考え、「共同声明」

 に賛同しました。

 

*第3回(10月23日)木バスサロンは、大気中の放射性微粒子の測定=「リネン吸着測 

    定」について話し合うことを予定しています。会員の方はぜひご参加下さい。   

「北海道を核のゴミ捨て場にしないことを強く求める署名」について

 北海道の寿都町が、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定に向けた「文献調査」の応募検討を進めています。

 そして、9月11日には、寿都町から40キロ離れた神恵内村の商工会が、応募検討を求める請願を神恵内村議会に提出しています。

 北海道は、1984年に幌延町への核のゴミの貯蔵施設計画誘致が表面化して以来、高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題に脅かされ続けています。

 

 そのことに危機感を持った市民が、北海道知事に対し、以下の呼びかけ文と二項目の要請事項を掲げて、署名活動を始めました。

 

 以下、署名の呼びかけ文と要請事項です。

 

北海道知事 鈴木 直道様

     北海道を核のゴミ捨て場にしないことを強く求める署名

 

 現在、後志管内寿都町においては、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定に向けた「文献調査」の応募検討を進めています。町長は「最終処分場ありきではない」としていますが、巨額の交付金と引き換えに、一度「調査」を受け入れれば途中で後戻りできないことは、電源立地の先例を見れば明らかです。特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律は、地震火山列島の日本で地層処分が可能か否かの判断基準も一切不問に付し「安全なものと見なして埋めてしまう」安全神話に基づいたずさんな法律です。活断層さえ排除せず、原子力規制委員会の審査もありません。
 このため、「文献調査」に応募すれば、ほとんどフリーパスで、概要調査地区、精密調査地区、さらには最終処分施設建設地に選定される法律構造になっており、なし崩し的に最終処分場となる危機的な状況です。寿都町による核のゴミ受け入れは、当町のみならず、ひいては北海道全体に甚大な影響を与えることから、「文献調査」への応募を行わないよう知事の働きかけが急務です。
 北海道においては、1984 年に幌延町への核のゴミの貯蔵施設計画誘致が表面化して以来、最終処分場問題に脅かされ続けています。2000 年、核のゴミは「受け入れがたい」とする北海道条例を公布。北海道、幌延町、日本原子力研究開発機構(以下、機構)の三者で、「20 年程度の研究期間」という機構の申し出のもと「放射性物質は持ち込まない、研究後は施設を解体し埋め戻す」とする協定を結びました。しかし、2019 年 8 月、突然、機構は深地層処分「研究延長」を道と幌延町に申し入れ、道による意見募集の 8 割が延長反対だったにも関わらず、12 月、知事は延長受け入れを表明しました。これは三者協定を反故にする行為に他ならず、幌延での深地層研究計画が続く限り、幌延町を含め道内が最終処分場になるのではとの強い危機感をぬぐうことはできません。
 よって、北海道知事においては、道民の生命と暮らし、食の安心・安全を守り、豊かな自然環境を次世代に引き継ぐため、核のゴミの持ち込みは「受け入れがたい」とする北海道条例を遵守し、北海道を核のゴミ捨て場にしないことを強く求め、以下要請します。

 【要請事項】

 1.寿都町に対し、核のゴミ「文献調査」応募を行わないよう求めること。

 2.幌延町での核のゴミ深地層研究の終了を日本原子力研究開発機構に求めること。

 

 【呼びかけ団体】

 生活クラブ生活協同組合・北海道、北海道平和フォーラム、核廃棄物施設誘致に

 反対する道北連絡協議会、NPO法人北海道ワーカーズ・コレクティブ連絡協議会、

 市民ネットワーク北海道

 

  第一次集約 9月30日  第二次集約 10月31日

 

 〈連絡先〉

 北海道平和運動フォーラム

 060-0004  札幌市中央区北4条西12丁目ほくろうビル

 TEL  011-231-4157  FAX 011-261-2759

 

  〈長野県の取扱団体〉

 原水爆禁止長野県協議会(長野県原水禁

 380-0838  長野市県町532-3

    電話 026-234-2116

 

 

 

木バスサロン、始めました!

 第一回木バスサロンを8月21日に東御市公民館にて行いました。 

  一回目は、「森林バイオマス燃焼による排出の影響」と「炭素会計のトリック」について考える学習会として、映画【BURNED : Are Trees the New coal?】(「燃やされる-木が石炭の代替燃料に?)(youtube.com/watch?v=fzQxLj9i4Q4) を、集まった会員たちで観ました。

 

 再生可能エネルギーのひとつとして位置付けられている木質バイオマス発電は、メガソーラーなどの問題が浮上し、太陽光発電に対する期待が低落する中、設備的安定性を持ち、FIT制度(固定価格買取制度)に支えられて売上価格も安定しているし、かつ「カーボンニュートラルだから環境にもグリーン」というふれこみが信じられ、世界的にも急増しています。

 木質燃料はこれまでも石炭との混焼に使われてきました。石炭も木質も燃焼してエネルギーを得る「火力発電」なので、そのインフラはほぼ同じです。世界的に化石燃料の評判が悪くなっている現在、今後、木質が石炭の代替燃料として、さらに増えていくことが予想されます。「カーボンニュートラルだから気候変動対策にもなる」ということで、バイオマスには各種の補助金がつくので、企業にとっては大変おいしい分野なのです。

 現に、日本のFIT法の買取価格も2017年に改正され、かつて太陽光発電の買取価格であった40円/kwが、現在は、間伐材由来燃料で、かつ2000kw未満ならばという条件つきで、木質バイオマス発電の買取価格となっています。

 アメリカやカナダ、エストニアルーマニア、東南アジアなどの森林がどんどん伐採され、ヨーロッパの木質バイオマス発電の燃料として運ばれ、海上では輸送船のラッシュまで起こっている。現在世界中に3600ヶ所ある木バス発電所がこのままの調子で増えていき、5700ヶ所になると、世界中の森林が消えてなくなるだろうと、映画は警告しています。

 果たして木質バイオマス発電は、本当にカーボンニュートラルなのでしょうか。木材を燃焼して、二酸化炭素が出ないわけがないと思うのですが。そんな一般市民の素朴な疑問に、映画『BURNED』は答えてくれます。

 この映画はアメリカの市民グループが制作しました。その中心的グループ『政策の完全性に向けたパートナーシップ』PFPI (Partnership for Policy Integrity) のリーダーは映画にも登場するメアリー・ブース博士です。

 メアリー・ブース博士は生態系科学者としての教育を受け、2010年にPFPIを設立し、バイオマスエネルギーの影響について取り組んでいます。(www.pfpi.net)

 2019年には、森林バイオマスを「ゼロカーボン」とみなしているEUに対し、バイオエネルギー訴訟を起こしています。(www.eubiomasscase.org)

 

バイオマス発電の炭素会計の落とし穴】

  「伐採時と燃焼時の両方で炭素計算すると、二重に計上することになるから」という理由で、バイオマス燃焼時には、二酸化炭素をカウントしないというルール(IPCCの決めたルール)があります。でも、実際には、森林伐採時、燃焼時のどちらでもカウントしていない、報告していないということが起こっており、木質バイオマスは、炭素計算上は「ゼロ」として報告されているそうです。

 

気候変動に関する政府間パネルIPCC) の決めたルール】

 IPCCは、バイオマス収穫による森林炭素の損失を「土地利用セクター」において計上するので、「エネルギーセクター」については、二重計上を避けるためにバイオマス由来のCO2をゼロとして計上するというアプローチを推奨しているのだそうです。

 つまり、気候変動の主な理由をCO2の排出量と考えるIPCCは、その排出がどこで行われるかを問題にします。炭素を安定的に貯蔵している森林が伐採されるとその段階で炭素が排出され、さらに炭素の吸収源を失うと考え(「土地セクター」でのマイナス)、実際の燃焼時の「エネルギーセクター」では、炭素の排出量を計上しないというルールを設けたのです。

  ただし、IPCCは次のようなコメントも出しています。「エネルギーセクターの合計にバイオエネルギー排出量を含めないというIPCCのアプローチは、バイオエネルギーの持続可能性または炭素中立(カーボンニュートラル)に関する結論として解釈されるべきではない。」(http://www.ipcc-nggip.iges.or.jp/faq/faq.html)

  つまり、「CO2排出権に係る炭素計算上は、二重計上を避けるために、エネルギーセクター=燃焼時では計上しないが、実際は燃焼時にCO2は排出されている。だから、持続可能性または炭素中立(カーボンニュートラル)に関する結論として解釈してはいけない」とも警告しているわけです。

 でも、この警告をどれだけの市民が理解できるでしょうか。金融上、炭素会計上の「ゼロカーボン」と、実際上の「ゼロカーボン」をごっちゃにして、バイオマスカーボンニュートラル再生可能エネルギーでグリーン」というイメージが先行し、また政治的、政策的にもそのイメージが利用されていっているのが現状だと思います。

 

バイオマスからの大気汚染排出】

 バイオマスの燃焼によるCO2の排出量は、石炭バーナーの150%、天然ガス設備の300~400%にも上ると、IPCCのホームページには書かれていますが、大気汚染に関するページを見ると、天然ガスよりも大気汚染度が高く、石炭に類似しているということがわかります。

 有機物を燃焼すると、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO2)、鉛、水銀、およびその他の有害な大気汚染物質(HAP)が放出されます。

 木は長年、地中の重金属等有害物質を吸い上げており、また、2011年の原発事故以降は、森林は放射性物質のプルーム(雲)を被っているので、大気からの降り注ぎの他、その後の土壌中からの放射性物質の吸い上げもあるはずです。

 日本学術会議の2014年報告書には、「チェルノブイリの知見によると、立木の中に蓄積された放射性物質の量は、事故後10~20年後にピークを迎える」と書かれており、事故後9年半経つ現在、立木の放射性物質の量は、これからがピーク期に入ると予想されます。

 立木の放射性物質の基準量は、日本では設けられていません。燃焼を前提とする「薪」に40Bq/kg、「木炭」に280Bq/kgがあるのみです。

 木は燃焼すると、含まれる放射性物質は、100~200倍に濃縮されます。この濃縮された放射性物質が、主灰(燃え殻)と飛灰に含まれることになります。

 そして飛灰の放射性物質は、PM1レベルの放射性微粒子になって、バグフィルターを

すり抜け、大気中に排出され、浮遊することになります。

 

 IPCCのホームページの2020年5月12日公開のページ、『EU バイオマス訴訟、裁判所へのアクセス拒否』には、「訴訟が提起されて以来、バイオマス産業が与えた被害の追加の証拠が明らかになりました。米国だけでなく、ブリティッシュコロンビアの内陸の熱帯雨林エストニアルーマニアカルパティア山脈でも、木質ペレットの古い成長を記録したという新しい報告がでました。木材燃焼発電所によるものを含む大気汚染が、Covid-19への感受性を劇的に高め、・・・・」という文章があります。

  コロナウィルス、Covid-19は、肺へのダメージが大きいと言われていますので、コロナウィルスの流行がひどくなっている現在、火力発電所、クリーンセンターからの大気排出物には、ますます気を付けていかねばなりません。

 

 7月15日に本格稼働した東御市の木質バイオマス発電所の煙は、日夜、建物の陰に隠れた煙突から排出されています。

 『木質バイオマス発電チェック市民会議』は、大気の状況、排水の状況、騒音や悪臭、焼却灰の状況に関して、監視活動を継続していきます。