第3回青木一政氏講演会開催
講演会 「 木質バイオマス発電は本当にエコか
~ 環境と健康への影響を考える ~ 」
10月19日、発電所に一番近い公民館、大日向地区にある北御牧公民館にて、NPO法人市民放射能監視センターの副理事長、青木一政氏の講演会を行いました。
台風19号の被害が川や道路にまだ生々しく、断水も続いていた大日向地区でしたが、そんな大変な状況であるにもかかわらず、約60名の方の参加があり、青木氏のお話に耳を傾けて下さいました。
北御牧公民館はわかりづらい場所にあったのですが、建設地の地元の方たちが今まで以上に多く集まって下さいました。家族連れの方も見え、子どもさんを会場の後ろで遊ばせながら参加したり、年配の方も「知り合いに聞いて来た、これは大変なことだ」と思って来たと、最後まで青木氏のお話しに聞き入っていました。
ノーニュークス・アジア・フォーラムの話から始めた青木氏
今年の9月21日から25日まで、台湾で「第19回ノーニュークス・アジア・フォーラム」が開催されました。台湾は、アジアの中で、脱原発を先頭に立って進めている国です。
青木一政氏は、その大会に日本代表の一人として参加されました。福島事故以降、福島内外の汚染の実態を調べ、それを伝えたり、またそういう実態の中でいかに人々の「被ばく」を低減させるかということを目的とし、市民放射能監視センターの活動を続けてこられました。
青木氏は、このフォーラムに参加することで、世界の人たちにフクシマの「今」を伝えたいという思いでいっぱであったと言います。
木質バイオマス発電の講演内容に入る前に、このフォーラムでの様子が紹介され、
ノーニュークス(No Nukes 非核)・アジア(Asia)に向けて、市民が、自治体が、国
がどう動いているかという世界の状況を伝えて下さいました。
詳しくは、以下のHPをご覧ください。
*ちくりん舎 http://chikurin.org/wp/
*ノーニュークス・アジア・フォーラム https://www.nonukesasiaforum.org/japan/
共同代表が挨拶、そしてこれまでの経過報告
共同代表の川端真由美さんが、台風被害の片づけに忙しい中、集まって下さった市民の皆さんに感謝の言葉を述べ、これまでの活動の経過報告を行いました。
2018年11月の信濃毎日新聞の記事と12月の東御市広報で、羽毛山地区に信州ウッドパワー(100%清水建設の子会社)が、木質バイオマス発電の建設を始めたということを知り、「木質バイオマス発電ってなに?」、「火力発電だったら、問題があるんじゃないの?」という問題意識を持った女性たち4人が、学習することを目的に「木質バイオマス発電を学ぶ会」を結成。
そして、日本で一番この問題に詳しい「ちくりん舎」の青木一政氏に講演を依頼し、4月14日に第1回講演会「木質バイオマス発電とはなにか」を開催。
と、報告し始めました。
この報告を聞き、最初の青木氏講演会から第3回の講演会までの期間が、半年あまりであったことに気がついた私は、びっくりしました。
この間、実に多くのことが起こり、多くの方たちに出会い、助けていただきながら、ここまで来たことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
〈出会った方たち〉
@東御の市民を心配し、駆けつけてきてくれた飯山市の市民(2018年夏、発電計画を
中止にさせた市民)
@講演会に駆けつけてくれたり、受付や宣伝等に協力してくれた友人・知人
@「これは大変なことだ」と手作りのビラを作ってまき始めた市民
@ミニ学習会を開き、周りに伝えていってくれた市民
@市民説明会要望署名集めに奔走してくれた市民
@「市民説明会要望書」や要望署名を一緒に東御市に提出したり、「説明会は開かな
い」という拒否の回答を一緒に受け取った市民
@何度も情報公開請求をし、水面下で進められた経過も含め、市民に情報を提供して
くれた市民
@そして何より、お忙しい中、東京や神奈川から東御市に駆けつけ、講演をしたり
貴重なアドバイスをして下さる青木一政氏や「ちくりん舎」スタッフの皆さん
この方たち以外にも、わずか半年あまりの間にたくさんの方の力を寄せていただきました。そのおかげで、「学ぶ会」だけでなく、「木質バイオマス発電チェック市民会議」ができ、その会の中で4チームが活動する「今」があることを、共同代表の経過報告を聞く中で、確認することができました。
〈4月14日の講演会開催以後の経過説明〉
4月の講演会では、たとえ微量であっても放射能汚染された木材を燃やせばバグフィルターをすり抜けた微小粒子に付着したセシウムは大気に放出されることや、焼却灰や処理水はどこへ行くのか、といった木質バイオマス発電の問題を学ぶことができました。そこで『学ぶ会』は5月、東御市に対し「市民説明会の開催を求める要望書」を提出しましたが、市長は「議会は承認」し「地元への周知も行った」から「市民説明会は開くつもりはない」と回答しました。
私たちは市の回答書を調べる中で、市の全ての議員が、「国の申請が下りるまでは公表しないでほしい」という企業と市の意向を承認し、市民に知られないように協力してきたことや、区の限られた役員への説明が「地元への周知」であったことを知りました。(地元区へは情報を流さないようにとの資料も)
そこで「全東御市民に対する説明会」の開催を求める署名活動を展開し、二か月間で1300筆を超える署名を集めて9月3日、市に提出しました。(その後も継続した署名は9月30日現在、1600筆を越えました)
当初(2014~2015年)の事業主体は(株)東京パワーテクノロジー(東京電力グループ)で、発電規模は1万kw、燃料集材圏は群馬や新潟県にも及ぶものでしたが、すでに燃料(間伐材)の調達が難しくなっていたこともあってか、その後事業主体は(株)清水建設に変わりました。現在建設中の「信州ウッドパワー」(清水建設の100%子会社)の発電規模は1,990kwとFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)で40円/kwの利益が20年間保証される規模になり、燃料集材圏は放射能汚染の懸念がある地域を含む東信地域としています。
私たちは10月3日、市から再度「市民説明会は開かない」という回答を受け取りました。理由は「事業主体は市ではなく企業」で、「環境に影響を及ぼさない事業と認識」しているという無責任極まりないものでした。
私たちは市が何もしないまま進む木質バイオマス発電所に対し、市民がチェックをかけて行くしかないと、8月24日、『木質バイオマス発電チェック市民会議』を起ち上げました。
そして今日、10月19日に、地元の北御牧公民館で青木氏の3回目の講演会「木質バイオマス発電は本当にエコなのか」を開催することになったわけです。
青木氏が各地で指導・実施している「リネン吸着法検査」(自分たちの手で大気中の放射性微粒子を測定する)をスタートさせます。発電所が稼働する前と稼働後の大気の状況を調べて比較するためですが、市民が監視していることを業者や東御市に対して示す意味も込めた「市民の自主測定活動」です。
合わせて燃料にするという東信地方の立ち木の放射能検査も開始しました。
聴いて下さい、地元からの声
第一回青木講演会から参加し続け、学習を深めていった羽毛山地区の住民の方からの訴えがありました。
その方は、言います。地域では初め、「木質チップ工場が建設されるそうだ」と聞かされていた。火力発電所が建設されるということはまったく知らされていなかったと。
そのうち、バイオマス発電所ができると聞いて、原発に比べ全く安全なものだろうから大丈夫だろうと、単純に理解していた。
でも、学習を進めるうちに、これは簡単に行政の言いなりになって、イエスと言っていていいものだろうかと、疑問に思うようになった。
旧東部町クリーンセンターの煙と火力発電所の煙が合体して、羽毛山地区に降り注ぎ堆積していくと考えたら、恐ろしくなった。
今でさえ、クリーンセンターの煙は臭くてたまらない。子や孫にはきれいな空気の下で育ち生活してほしい。
その上、この発電所の誘致が「住民に知られないように」と、水面下で進められていたことが市の議事録に書かれていたので、とてもびっくりした。
そして、最後にこう付け加えました。
先日の台風で崩落した田中橋、羽毛山橋はその田中橋より古いのです。
ここを毎日10トントラックが10台も通ることになるのですと。
講演
「木質バイオマス発電は本当にエコか? ~ 環境と健康への影響を考える ~」
【パワーポイント資料の目次】
1)福島は「アンダーコントロール」か?
2)日本政府・福島県は原発事故の現実を隠蔽することに全力を注いでいる
4)全国木質バイオマス発電所一覧地図 急速に増加・大型化(7万5000kwクラスも)
5)木質バイオマス発電業者のホンネは 燃料の安定化が課題 山林はバイオマスの畑
6)輸入燃料チップ価格上昇 国内では木材チップ生産が急増
上山の工場で爆発 民家に金属片(河北新報)
バイオマス発電所の騒音や臭気で苦情 対策求める請願、議会採択(京都新聞)
日本パルプ商事焼却灰出荷時に不正(日本経済新聞)
8)2018.5可決 2019.4施行「森林経営管理法」
バイオマス発電のために森林を強制的に取り上げる
国有林まで伐採権を民間業者に売り渡す! 再造林の義務は不明記
11)除染・廃棄物技術協議会 東京電力の旗振りでごみ処理が新たなビジネスに
廃棄物関連WG[第6期]メンバー企業30社
12)除染・廃棄物技術協議会 バイオマス発電も「放射能ごみ処理」の柱に
ゴミ焼却炉・セメント工場・バイオマス発電所は放射能ばらまき施設に位置付け
13)福島県における森林除染をめぐる攻防
「福島森林再生事業」で奥山間伐を推進。毎年47億円の予算
(2012年 環境省「今後の森林除染の在り方に関する当面の整理について」)
15)放射能汚染された木材はどこへ行ったのか?
16)焼却灰の主灰と飛灰
17)飛灰には微小粒子が大量に含まれる
19) 燃やせば飛灰の放射能は100倍濃縮される
20)無垢の木材を燃やしてもダイオキシンは発生する
21)不完全燃焼・de novo 合成によるダイオキシンの発生
22)木質チップの大半は建築廃材(解体材、廃材)
有害物質は問題ないか?
23) 福島県甲状腺検査の最新情報(2019.6.30まで)
25)福島原発事故による乳幼児死亡率の増加
26)乳児の複雑新奇形手術 福島原発事故後に全国で増加
28)チェルノブイリの経験だけでは語れない
-日本での低線量被ばくの特別の危険性ー
29)焼却炉やバイオマス発電所に設置されているバグフィルターとは
30)バグフィルターで「99.9%捕捉できる」というが?
31)バグフィルターは漏らしながら集じんする
32)バグフィルターの不具合等の事例
ユーザーは破損が「よく起きる」と回答
33)粉じん粒径と体内への取り込み
34)細かい粒子は肺の奥まで侵入する
35)吸入摂取の危険性
36) セシウムはばいじん粒子の表面に付着している
37)微小粒子は表面積で考えなければならない
38)大気中の誇りの放射能を測る~一般的な方法
39)リネン吸着法-市民のアイディアで測定できることを実証
40)リネン吸着法測定結果
42)「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル」
43)アメダス上田、東御、立科の位置と風方向(年間)(四季)
44)局地循環流
45)年間風向を元にした拡散予測(上田、東御、立科に着目)
46)接地逆転層により汚染した空気は滞留する
47)リネン吸着法で監視する場合の設置案
48)リネン吸着法による監視の考え方
49)排水にも問題がないか監視が必要
50)「再生不可能なバイオマス発電」
51)バイオマス発電における2つの潮流
『バイオマス本当の話』(泊みゆき著)を参考に
*青木一政氏のお話は90分を越えるものでしたが、ほとんどの方が最後まで食い入る
ように聞き入っていました。
*最新刊の『絶望の林業』の中には、「再生不可能なバイオマス発電」という章があ
ります。森林ジャーナリストの田中氏が林業の現場で出会った貴重な証言が取り上
げられています。ぜひ、ご一読を
~ 今、日本の林業現場で何が行われているのか? ~
補助金漬け・死傷者続出・低賃金・相次ぐ盗伐・非科学的な施策
官製〈成長産業〉の不都合な真実
*また今回の講演では、水の問題を、量の問題ではなく、排水・排液の質の問題、
給排水フローの問題として、専門的に解説していただきました。
「リネン吸着検査」を稼働前から実施します
リネン検査チームによる報告
大気中に浮遊する放射性微粒子は、空間線量計では測れません。
p.m2.5などと言われる極小の微粒子は、ホコリを計測する「エアーダストサンプラー」という機器で計測します。
私たちは、市民運動から生まれた「リネン(麻布)吸着法」という検査法で、放射性セシウムなどの微小粒子の拡散を監視します。
稼働前から測定を行い、稼働後の大気の状態と比較します。
全国で100か所以上の「リネン吸着検査」を行っている「ちくりん舎」の指導の下に
リネンを設置し、張り終わったリネンは、「ちくりん舎」のゲルマニウム半導体放射能測定器で計測してもらいます。
〈リネン吸着法の意義〉
①放射性セシウムなどの微小粒子の拡散を監視します。
②市民が監視を行うことで、事業者に対して、汚染木材・チップを使わせない牽制・
抑止をかけます。
③監視を行うことで、市民・協力者の関心を高めていきます。
終わりの言葉
チェック市民会議共同代表の今村輝夫さんが、地元の住民として、まとめの言葉を
述べて下さいました。
今村さんは八重原地区の区長をしていましたが、木質バイオマス発電建設について
一度も東御市から説明を受けたことがないと常々おっしゃっています。
福島の人たちが、見せかけの除染によって次々に避難指定を解除され、賠償を打ち
切られ、半ば強制的に帰還させられたり、公営住宅に避難している自主避難者が懲罰
的に家賃を2倍にさせられ、追い出されようとしていることを取り上げ、国は福島を
見捨てるのかと、怒りをあらわにしました。
そして、放射能ごみの基準を8000Bq/kg以上にまで引き上げ、それ以下は一般廃棄
物扱いにしているのなら、そういう環境省の方針の下に行われる木質バイオマス発電
事業は危険ではないかと訴え、東御市に対し説明会を求めた市民が、二度も開催を拒
否されたということは、われわれ東御市民も東御市に見捨てられたということかと投
げかけて、終わりの言葉とされました。
チェック市民会議のリーフレットを作成しました
私たちの活動をより多くの方に知っていただくためにリーフレットを作成しました。
木質バイオマス発電チェック市民会議 リーフレット
なぜ、木質バイオマス発電チェック市民会議なの?
東御市のど真ん中、中心市街地の目の前にバイオマス火力発電所ができます。
市は2014年から水面下で東御市羽毛山地区にバイオマス火力発電所の誘致を計画し
【自治体の説明責任】 【議会のチェック機能】 【地元住民への十分な周知】
を果たすことなく建設を着工しました。
私たちは学習を進める中で、発電所の排煙が羽毛山地区だけでなく、東御市全域
に降り注ぎ、上田市や小諸市など周辺地域にも広がり、発電所の排液の影響が川に
も及ぶのではないかなどと予想するようになりました。
人は誰でも、安心安全な空気の下で暮らしたい、農業をしたいと願っています。
私たちは、市民一人ひとりの英知を集め、子や孫が育ち生活する町の環境を守って
いくための活動をしていきます。
木質バイオマス発電チェック市民会議には
会報の購読をしたり、学習会に参加したり、会費や寄付金で会を支えたりする
様々な活動があります。
現在は以下のような幾つかのチームを組んで活動をしている人たちもいます。
〈 活動内容 〉
1.協定書作成チーム
バイオマス発電所が建設されることで、何が心配か、どうしていけばいいかを
考えます。
2.自主測定チーム
★リネン測定調査
★風向風速計設置と観察
★木材に含まれる放射能の調査等の様々な調査・測定を行います。
3.地域広報チーム
市内・市外にかかわらず、自分の居住する地域で、何が出来るか考え、実行し
ます。
4.オンブズパーソンチーム
企業誘致に関して、市民の権利や利益が守られるような市政運営が成されてい
るかどうか見張ります。
【 活動経過 】
2019.4.14 「ちくりん舎」青木一政氏による第1回講演会
2019.4.26 飯山市民との交流学習会
2019.5.23 木質バイオマス発電にかかわる学習会
2019.5.24 「市民説明会開催」の要望書を東御市に提出
2019.6.12 「市民説明会の開催は必要なし」と回答を受ける
2019.6.23 「ちくりん舎」青木一政氏による第2回講演会
2019.7.1 「市民説明会開催」を要望する署名活動開始。
2019.7~8 各地でミニ学習会を開催
2019.9.3 「市民説明会開催」要望署名提出。(9/2集約1322筆)
市民説明会要望署名は今年いっぱい継続して行うことにしました。
2019.7.13 「木質バイオマス発電チェック市民会議」の提案
2019.8.24 「木質バイオマス発電チェック市民会議」設立総会
2019.10.19 「ちくりん舎」青木一政氏による第3回講演会
一緒に活動して下さる方、活動を支えて下さる方、
ご連絡をお待ちしております。
共同代表 川端真由美 今村輝夫 斎藤俊雄
〔会費やご寄付で会を支えて下さい!〕
年会費
正会員 2,000円
会の運営に関わり会を支えていただく方々
賛助会員 1,000円
会の趣旨に賛同して支えていただく方々
会のニュース、学習会案内等の情報が受け取れます。
【振込口座】
*ゆうちょ銀行からの場合
口座記号番号 00520-3-87641
口座名称 木質バイオマス発電チェック市民会議
*他の金融機関からの場合
店名(店番)0五九(ゼロゴキュウ)(059)
預金種目 当座 口座番号 0087641
10月3日、東御市から「市民説明会は開かない」という回答が出される!
「木質バイオマス発電を学ぶ会」は、7月から8月にかけて、「市民説明会開催を要望する署名」集めに取り組み、9月3日、1322筆の署名を持って、東御市に市民説明会の要望書を提出しました。
その要望に対し、以下のような回答がなされました。
元 商 第47号
令和元年9月24日
木質バイオマス発電を学ぶ会 様
東御市長 花岡 利夫
要望書への回答について
令和元年9月3日付で貴会より提出のありました要望書について、令和元年6月12日付元生環第26号で回答しましたとおり、当該事業の実施主体ではない市が説明会を開催することは考えておりません。
なお、市は本木質バイオマス発電事業が、関係法令に定める基準等の範囲内で実施される環境に悪影響を及ぼさない事業であると認識しており、今後発電事業が稼働するにあたり、法令や東御市環境を良くする条例に基づき事業者と市との間で締結した環境保全に関する協定が、順守されていることを確認してまいります。
「市民説明会開催を要望する署名」は、9月3日の提出後も集まり、すでに1600筆を越えており、追加分も生活環境課を通して市に提出してあります。
回答書は、「学ぶ会」有志ら市民およそ30名に対し手渡されましたが、渡してくれた課は、生活環境課の3名の職員の方でした。
回答書の発行先は、元商、つまり商工観光課でした。
東御市の木質バイオマス発電事業の誘致を主に進めてきたのは、商工観光課です。
しかし、私たち市民が事業計画に対し疑問を投げかけた後に、対応するようになったのは、生活環境課です。
回答書の受け取りに集まった市民は、自治体としての説明責任を果たしていない、納得できないと口々に述べ、すぐ近くの保育園や小学校の子どもたちを守りたいと訴えました。
生環第26号、つまり生活環境課によって、6月12日に手渡された回答書の「市民説明会
を開かない」理由は、「すでに市民には情報周知している」「議会の承認を得ている」という内容でした。また、そのときの回答書に「参考資料」として添付されていた「情報周知の実績」や「議会の承認」に関して、すべて情報公開請求を行いました。
その結果、資料自体が存在しないもの、市民への情報周知にあたるとは思えないもの、実施主体が東京電力から清水建設に変わっていった事等、数々の疑問が出てきました。
また、地元住民を含め、東御市民の中に発電所の建設を知っている者がほとんどおらず、市民に情報周知しているとはとうてい思えなかったので、7月以降「市民説明会開催を要望する署名」に取り組んできたわけです。
そういう市民の動き、声に対して、上記のような回答を出してきたことに対し、私たち市民は全く納得することができません。
今後、「木質バイオマス発電チェック市民会議」として、さらに多くの市民の声を集め
抗議の声を上げていく決意です。
■
チェック市民会議共同代表・今村輝夫氏からのご挨拶
ご 挨 拶
共同代表 今村輝夫
八重原芸術むら区の今村輝夫です。
出身は関西ですが、工場が田中に有り、八重原を知ってから、ここで暮らすと決め
現在、2所帯住宅で孫の世話をしながら、八重原での生活を楽しんでいます。
八重原へのほれ込み、その思いは八重原を守ってきた住民の皆様に負けません。
神の倉のごみ焼却場建設反対、撃退を始め、八重原の自然、文化、歴史を守る為、
私なりに協力、役割を果たしていると自負しております。
本件については、隣組の知人から「第1回木質バイオマス発電を学ぶ会」講演会
の案内を受け、興味中心で学習に参加。建設中の場所確認で、なぜ市街地に許した
のかの疑問と、即座に八重原の危機、北御牧地区の大問題と認識しました。
森友問題などでの公文書の改ざん、隠蔽、国民不在の今の政府への疑問、市民の
無関心を利用する市政を考えた時、この発電所計画の進め方の裏を深読みすると、
将来に禍根を残す大問題と捉え、学習すればするほど、八重原の大地を汚す大問題
につながると考えました。
八重原米を主産物とする農業、人口減少を食い止める為、諸施策を推進し努力す
る人達を考えると、環境汚染の風評を立たせてはいけない。
軽井沢など関東県境地区の「きのこ類」は100ベクレル以上の汚染が認められ、
食べてはいけないと禁止される中、環境省のHPでは、放射能について「8000ベ
クレル以下は一般廃棄物と燃やして良い」と公布しており、汚染物質の持ち込みは
時間の問題。更に発電所は24時間運転、数年で蓄積の心配が生まれる。
北風が吹く度に、心配で眠れない毎日となりかねない。
住民の英知とパワーを結集し、八重原を守りぬきましょう。
■
講 演 会
木質バイオマス発電は 本当にエコなのか?!
~ 環境と健康への影響を考える ~
さわやかな秋風の吹く季節になってまいりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
東御市羽毛山地区に清水建設が建てている木質バイオマス発電所に対して、環境や健康への影響について、市民の中には不安と心配の声が広がっています。
9月3日に、『木質バイオマス発電を学ぶ会』は、清水建設の事業を許可した東御市に対し、全市民を対象とする市民説明会を開催するように要望する署名 1322筆を提出致しました。
講演会講師の青木一政氏は、2011年の福島原発事故の影響を心配したヨーロッパ市民が日本に寄せて下さった寄附金を元にして立ち上がった「ちくりん舎・市民放射能監視センター」の副理事長を務めている方です。
青木氏には、すでに4月と6月に、東御市中央公民館にて講演を行っていただきました。
今回、建設地羽毛山地区に一番近い北御牧公民館で、改めて青木一政氏の講演会を開催し、地元区の皆さんを中心にした多くの市民の皆さんに、木質バイオマス発電所とは何か、稼働したら、どんな問題が起こるのか、予想されるのかを、聞いていただきたいと思います。
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と き 10月19日(土) 13:30 ~(13時開場)
ところ 東御市北御牧公民館 講堂
東御市大日向337(0268-67-1010)
講 師 青木 一政 氏
(ちくりん舎・市民放射能監視センター 副理事長)
資料代 500円
主 催 木質バイオマス発電を学ぶ会
共 催 木質バイオマス発電チェック市民会議
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~『学ぶ会』から『木質バイオマス発電チェック市民会議』へ~
という文章を、『平和の種をまく会』のニュースレター「平和の種」9月(2019.9.8)に載せていただきました。長野県県央を中心に全国に読者がいるニュースレターです。
~「学ぶ会」から「木質バイオマス発電チェック市民会議」へ ~
西山貴代美 (NPO法人子どもの保養サポート上田・代表)
生活クラブ生協による福島見学会に参加し、「チェルノブイリでは決して燃やしてはいけなとされていることを、福島でやり始めたのです」と言われたことをずしりと心に受け止めて福島から帰ってきた彼女と、人々の心に寄り添った形での復興がなされてはいないと感じながら福島から戻って来た彼女と、自分の町の真ん中に火力発電所の建設がすでに着工してしまったと驚いた彼女とで始めた「木質バイオマス発電を学ぶ会」は、ここ半年余りの間に、大変多くの出会いと学びを、メンバーにもたらしてくれました。
〈放射能汚染の「見えない化」〉
私たちは、日本における木質バイオマス発電の本質について学んでいく中で、改めて放射性物質の拡散のこわさと、事故後の国のエネルギー政策と放射能汚染対策とが結び付きながら進んでいっていることを知りました。チェルノブイリでは、 汚染地帯のゾーン化や廃村化など、放射能汚染の「見える化」をしてしまいましたが、日本政府はこのことから学んだようで、放射能汚染の「見えない化」をかなり早くから政策として推し進めています。
その一つが放射性廃棄物のクリアランスレベルをこれまでの100Bq/kgから8000Bq/kgにまで引き上げ、8000Bq/kgまでは問題のない一般廃棄物扱いにしてしまったことでした。そしてもう一つが、その基準の変更に基づき行われる「放射能ゴミの減容化政策」です。
木質バイオマス発電は、事故のあった翌年の2012年にはすでに放射能ゴミの減容化施設として位置付けられています。
「仮置き場の確保が課題となるため、可能な範囲で早期に焼却して減容化し、仮置き場の必要量を下げるなどの対応が重要であり、そのためには、焼却炉の設置が必要である。その際、地域の実情に応じ、一定の量と質の有機物を確保できるか等の集材性や一定の採算性が見込める場合には、焼却により発生する熱を発電に利用するバイオマス発電を活用することが考えられる」(環境省「今後の森林除染の在り方に関する当面の整理について」)
日本政府は、あれだけ過酷な事故を引き起こした原子力発電 ― 多くの市民の生活を根こそぎ奪い、故郷を去らざるを得なくさせたり、逃げたくてもとどまらざるを得なくさせたり、苦渋の帰還を選択させたりした ― 原子力発電をベースロード電源と位置付け、再生エネルギーに理解を示すようなそぶりのエネルギーミックス政策をとっています。
2017年のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の価格改正に、木質バイオマス発電をこれまで勢いのあった太陽光発電にとって代わらせたいかのような優遇ぶりを見ます。また、これまで燃料の多くを占めていた廃棄物や世界的に評判の悪い石炭との混焼もFIT認証の対象としない方向に変えていますが、そこには、放射能ゴミはゴミ焼却炉に、汚染された木材は木質バイオマス発電所にと、役割分担していきたいという思惑が透けて見えます。間伐材などの木質燃料を優遇すれば、いかにも環境にやさしいように見せかけられるし、難題の森林除染の解決策にもなるからです。
〈なぜ計画の段階で市民が知ることができなかったのか〉
日光市や飯山市の木質バイオマス発電計画はなぜ白紙撤回させることができたのか、東御市の発電所はなぜかくも簡単に着工することができたのか、私にはとても疑問でした。
でも、東御市長に対し、全東御市民向けの説明会を要望し、その要望が蹴られたことで、逆にその疑問が解けました。東御市は、市民説明会の必要がない理由として、これまでに行った「市民への情報周知の概要」を、私たちに提示しました。そこでその内容全部に関しての情報公開請求を行いました。その結果、以下のような事実がわかりました。
①この計画は2014年からあり、当初の事業主体は、東京電力であったこと。
②その事業主体で2015年の東御市議会議員総会にかけられながら、建設予定地区役員への説明の段階では、いつの間にか、建設主体が清水建設にすり替わっていること。
③2018年11月の着工までの間、一貫して市民に知られないように、東御市も市議も気を配っていること。4年間で3回の議員総会にかけられながら、議会で取り上げられたのは市民が問題にし始めてからの2019年6月の定例議会での共産党議員の一般質問の一回のみ。(市と清水建設間の土地の売買契約成立という情報が、市のHPにアップされたのは、約1年後の2019年4月25日。バイオマス発電所計画を断念させた飯山市民が東御市に駆けつけてくれた前日)
④建設予定地の羽毛山地区への説明会が、直前の回覧(清水建設の検閲済)による告知を経て、2017年11月に行われたが、参加者は地区住民15名と、商工観光課、農林課、清水建設のみ。生活環境課が出席していないのは、事業内容が環境問題に関わるという意識が希薄だという証拠。
一番驚いたのが、①と②です。「除染・廃棄物技術協議会」の旗振り役の東京電力が最初の事業主体で、それがいつの間にか、やはり協議会メンバーであり、除染のリーダー的存在である大手ゼネコン清水建設にすり変わっていったという事実。
また、この計画がすでに2014年に始まっているということにも目を見張りました。同時期、日光市の木質バイオマス発電計画も始まったからです。2012年に環境省のお墨付きを得て、日本の木質バイオマス発電建設(計画)があちこちで始まりだしたのが2014年頃。日本の電力会社(あの原発事故を起こした東京電力)とゼネコンの大物が、売れずに困っていた工業団地跡を買い取ってくれることに喜び、機嫌を損ねないようにと指図通りにしていった東御市の姿が、資料から読み取れます。
また、私は東御市にはほとんど自治会が存在しないという事実も知り、日光市の反対運動が、後半自治会中心になっていたスタイルとの違いを見せつけられました。東御市に存在する「区」とは「行政区」であって、そこの区長は、市の公職、非常勤特別職なのだから、市から降ろされた伝達事項を市民に伝えることは得意としていても、市民の立場に立って市側の伝達事項に対し疑問を呈し行動していくことは難しい。これでは住民自治は絵にかいた餅です。
飯山市でも区や区長という制度が取られていると思いますが、それでも計画を白紙にすることができたのは、区長が中心となって、区とは別に「木質バイオマス検討委員会」を立ち上げ、住民の立場で市と交渉していったこと、また、議員たちが一貫して議会で取り上げ続け、重大な環境問題であることを市民に知らせていったこと、そして早い段階で、「ちくりん舎」(市民放射能監視センター)の青木一政氏にアクセスし、市民が学習していったことが、大きいのではないかと推察しています。
〈市民の監視が重要〉
放射能の「見えない化」にしても、何年にも渡って市民に知られないようにと工夫を重ねていった東御市や業者のやり方を見ても、権力が一番恐れているのは、やはり「市民が知る、考える、そして行動する」ことだということがわかります。だから、私たちは、「木質バイオマス発電チェック市民会議」を立ち上げ、プラントの完成を待つばかりとなった発電所に対し、より安全な稼働をするように、市民も加わった形での稼働協定・覚書の締結を求めたり、市民の自主測定を行いつつ操業を監視していきます。また市民の権利や利益が守られるような市政運営がなされているかどうかを見張るオンブズパーソンチームも創ります。
日本中に木質バイオマス発電がさらに増えていくことが予想されます。東御市で起こったようなやり方で市民が無視され、木質バイオマス発電所が建設されていくことがないように、東御市民だけでなく、長野の、日本全域の市民の皆さんに、これからの「市民会議」の活動を見守っていただきたいです。
『平和の種をまく会』ニュースレター「平和の種」No.83(2019.9.8発行)へ寄稿
9月4日 「市民説明会要望書」署名提出、信濃毎日新聞に取り上げていただきました!
バイオマス発電 説明を求める声
東御の有志 署名1322人分提出
東御市羽毛山で企業が建設中の木質バイオマス(生物資源)発電所について、市民有志が3日、市による説明会開催を求める署名1322人分を市に提出した。署名を受け取った高藤博幸・生活環境課長は「改めて回答する」と話した。
署名の文書は、地元区長らは計画の説明を受けていたが、多くの市民は受けていないと主張。環境や市民の健康への影響を心配する声が広がっている- とした。署名は、6月から8月に集め、市内が47% で、うちほぼ半数が建設地に近い北御牧地区の住民だった。上田、小諸両市など近隣からの署名が3割余あった。
有志の原沢美香さん(55)=和=は「予想以上に署名が集まった。不安に思う市民の声を、市はしっかりと受け止めてほしい」と話した。
信濃毎日新聞 2019.9.4